「任意整理の返済計画」って、どうやってつくるの?
「任意整理を成功させるためには、現実的な返済計画が必要!」
というのは、「債務者との交渉で借金を減らせる?任意整理のメリット・デメリットについて」で説明しているとおりです。
任意整理は、債権者との話し合いや利息の引きなおし計算をすることで借金をできるだけ減らし、楽に返済していけるようにするための手続きです。
手続きの成功には債権者があなたを信用できるだけの根拠が必要不可欠。
その根拠になるのが、任意整理をして残った借金を確実に返済していける「現実的な返済プラン」なのです。
返済計画は、「あなたの返済能力」に応じて決まります。
この機会に、「どうやって返済計画をたてるのか」を抑えていきましょう。
任意整理できるかどうかのわかれ道!「返済可能額」の出し方とは
任意整理の返済計画をたてるそのまえに、必ず考えなければならないことがひとつあります。
「あなたの借金が、任意整理したほうがいいのかを確かめる」ことです。
おおざっぱにいってしまうと、「利息の引きなおし計算をしたあと、あなたが残りの借金を無理なく返済できる」のであれば、自己破産や民事再生より任意整理がおすすめです。
「いくら返せるかわかりませんけど、絶対に返すので借金を減らして返済を待ってください!」なんていわれても、債権者はあなたのことを信用できません。
「あなたが最大でいくらまでなら無理なく返済できるのか」という「返済可能額」を数字ではっきり見せることで、債権者に信用してもらうわけです。
返済可能額の求め方は簡単です。
- あなたの返済可能額=あなたが毎月無理なく返済できる金額×36ヶ月(3年間)
を計算してみるだけ。
例えば、あなたが「毎月3万円なら確実に返済に回せる」場合、「3万円×36ヶ月=108万円」が「返済可能額」となります。
任意整理をして残った借金額が「108万円以下」なら無理なく返済できる、というふうに判断をしたうえで、「具体的な返済計画」をつくっていくのです。
「返済可能額>借金の残額」のときに使える、返済計画の立て方
それでは、返済計画の立て方を考えてみましょう。
借金の返済計画をたてるためには、「収入」と「一ヶ月あたりの生活費」が必要です。
具体的な月々の返済額の求め方
多くの方が「毎月○万円ならなんとか・・・」と考える毎月の返済額は、ほとんどの場合「なんとなく生活費から用意できる金額」ですよね。
任意整理では、通常36ヶ月かけて、毎月同じ金額ずつ返済していくことになります。
返済額があいまいだったり、月によって返済額がかわることはまずないので、「厳密に計算をして、確実に毎月返済に回せる金額」を求めなければなりません。
計算に使うのは収入と生活費ですが、収入はともかくとして生活費はこまかく内訳を調べましょう。
家賃、社会保険や年金などの天引きぶん、食費、携帯電話やインターネットの利用料などをきちんと調べてから、「収入から生活費を引いて、残った額がいくらか」を求めます。
例えば、収入が「手取り20万円」で毎月の生活費が「15万円」なら、差し引き「5万円」が返済額となるわけです。
ただし、任意整理では「息抜きや娯楽のための費用」をすこし考えて、「月々3万円の返済」といった計画をたてることが多いです。
「毎月返済でギリギリの生活・・・」にしないほうがいい理由
ダイエットとおなじで、借金返済をがんばろう! と思った人は、ついつい「生活費を切り詰めて、あれもこれも我慢して全部返済に回そう」と考えてしまいがち。
ですが考えてもみてください。
任意整理の返済期間は最低3年つづくのです。
3年間、一度も遊ばず息抜きもせず、鋼の精神で面白みのない返済生活をつづけることができるでしょうか。
返済のために我慢しすぎる、ギリギリの返済プランをたてた場合、よっぽど精神的にタフな人でないと途中でいやになってしまいます。
返済計画が失敗すると、あなたも返済してもらえない債権者も困ります。
「ある程度の息抜きは人生に必要」ということで、毎月数万円の「娯楽費」も含めて返済額を考えるのです。
返済期間は、3年から5年!
ちなみに、任意整理の返済期間が基本3年、というのは「民事再生」をした場合の最低返済期間が3年なので、債権者としても3年ならなんとか待てる、と考えているからです。
「10年かけて返済します」なんていわれると、いつまでたってもお金を回収できませんし、管理も面倒になってきます。
ただ、あなたの借金の状況によって、交渉次第で「最大5年」の返済計画をたてる場合もあります。ケースバイケースなのです。
あなた、弁護士、そして債権者との合意で完成!
任意整理は話し合いですから、債権者が「そんな計画認めない!」といえば無視することはできません。
あなたと弁護士、債権者の意見を調整して、最終的に全員が合意できる計画をつくることができて、はじめて本当の意味で返済計画は完成するのです。
長い期間、しっかり返済をつづけていくなら「無理しないこと」も重要です。
月々の返済額がすこし減っても、余裕をもたせておいたほうがなにごともうまくいきます。
気楽に返済していきましょう。