任意整理後の返済方法で、「一括弁済」を選んだほうがいい理由

例えば、あなたが任意整理しようと思っているとします。

借金を完済する3年後の生活を、想像することはできますか?

いまとおなじ職場で働いているでしょうか。友人の状況はどうでしょう。給料の額はかわっていますか?

結婚や離婚をしたり、子供ができたりしているかもしれません。

人生は、たったの数ヶ月で大きくかわります。

いくら無理のない返済計画をたてても、3年後自分がどうしているのか、なんてイメージすることはできません。

もし、あなたが「まとまったお金をなんとか工面できる」のなら、「任意整理をするときに、借金を一括返済する」という選択肢を選べます。

一括弁済は、交渉次第で「借金の支払額を10%から30%減らすことも可能」になるとても便利な借金の返済法。

いますぐに借金がなくなるという安心感も、けっして無視できるものではありません。

ただ、一括弁済は事情を知って使いこなせば強力な一方、失敗したときのダメージも大きいです。

一括弁済のメリットや、一括弁済をするうえで注意しておいたほうがいいことを、いっしょに確認していきましょう。

知らないと損する!?一括で借金を完済するメリット

家族や親戚、友人にお金を用立ててもらえる、遺産相続をしてまとまったお金が手元にある、という人は、ぜひ任意整理中の一括弁済を考えましょう。

一括弁済なら、交渉次第で返済額をへらせます。

といっても、どうして「まとめて返済する」と「借金が減る」のか気になりますよね。

そんな都合のいいことが本当にあるのでしょうか。

利息の引きなおし計算と一括弁済の組み合わせで、支払額を減らせる

任意整理では、最初に「利息の引きなおし計算」を行います。

くわしい説明は省略しますが、「過払い金」があったらそのぶん借金を減らし、利率も適正なものにして、ついでに将来の利息もカットしてもらうわけです。

債権者からみると、重要なのはきちんとお金が戻ってくることです。

債務整理で利息がカットされると、「いま全額戻ってこようと、3年後に全額戻ってこようと手にはいる金額はおなじ」ですよね。

ただ、通常返済期間は3年ですから、確実に100%元金が返済されるかはわかりません。

リスクのある3年後の全額より、「すこし金額は減っても、いま確実にお金が戻ってくる」ことを選ぶ債権者がいるので、「すこし低い金額の一括返済でいい」という交渉が成立します。

割引率に明確な基準はありませんが、債権者にとっても悪い話ではないので、うまくいけば「残額の70%から90%でいい」という条件で一括返済できます。

知っておこう!一括弁済をするうえでの注意点

一括弁済をするうえで気をつけたいのは、「自分で交渉しない」ということです。

弁護士に依頼すれば避けられるトラブルも、自分でやればひっきりなしに寄ってきます。

自力で交渉するとだまされる!?

自力で一括弁済の交渉をすると、どうなるでしょうか。

弁護士に任意整理を依頼している場合、一括弁済のことだけ個人的に債権者に相談しにいくと、弁護士の仕事を邪魔することになりますよね。

下手をすると、「それならご自分でどうぞ」と弁護士が辞退する可能性もありえます。

任意整理そのものが失敗するかもしれません。

一方で最初から自力で任意整理をしている場合、「利息の引きなおし計算」「具体的な返済計画」「債権者を納得させられる交渉」をしつつ、さらに「一括弁済の交渉」をするわけです。

友好的ではない相手から、「借金を減らす」という譲歩を引き出すのは簡単ではありません。無理して自分で交渉をしても、うまくいくとは限らないのです。

弁護士を通さないこてで起きる「リスク」

一括弁済をするときは、できるだけ弁護士に依頼しましょう。

弁護士なら交渉をやってくれますし、なにより「だまされる心配」がありません。

例えば借金が100万円あって、債務整理をすれば100万円が80万円に、一括弁済の交渉がうまくいけば、さらに30%オフの56万円にできるとします。

債権者が「じゃあ、100万円の借金をちょっと値引きして、85万円を一括で返済してくれるならいいですよ」なんていってきたらどうしますか?

もし、あなたが自分で利息の引きなおしや一括弁済による返済額の引き下げが狙える、ということを知らなければ、「15万円も安くしてもらえるなら!」と思ってしまうかもしれません。

また、自力で一括弁済をした場合、債権者からは「しめしめ、こいつは一括で完済できるくらいの返済能力をもっているんだな優良顧客だ!」と思われるようになります。

完済してからも、「お金、貸しましょうか?」という勧誘はとまりません。

せっかく債務整理をしても、ついついお金を借りてしまって、気がつけば今度は自己破産・・・なんてリスクがあるわけです。

弁護士を挟むと債権者として手出ししづらくなるので、あからさまな借金のお誘いもへっていきます。

一括弁済を自力でやっても、メリットはほとんどありません。

交渉を成功させ、1年後の自分を借金の誘惑から守るためにも、弁護士を頼るのがおすすめです。