裁判は避けないほうがいい!過払い金返還請求における交渉の基本とは
裁判、好きですか?
債務整理をするにあたって、「できたら裁判はしたくないな」と思っている人はすくなくありません。
「裁判ってお金がかかるんでしょ?」
「なんだか面倒そう」
「時間もかかるってきいたし、やり方もわからない」
「そんなことより、示談できるならはやく過払い金を返してほしい!」
裁判がよほど好き、裁判に興味があるという人をのぞけば、「裁判をする」「相手を訴える」「法定で争う」のは大きな負担ですよね。
とくに、お金と時間がかかってしまう、というのがつらいところです。
ただ、あなたが過払い金返還請求をしたいと思っているなら、「裁判を起こしたほうが示談しやすい」のです。
過払い金返還請求は、交渉のやり方次第で取り戻すことのできる金額が大きくかわります。
損したぶんをきっちり取り返すためにも、今回は「過払い金返還請求における訴訟の使い方」「忘れてはいけない、完済している過払い金の返還請求」について話をしていきます。
「裁判なし」は難しい!示談も交渉も裁判前提!?
「訴訟なんてしなくても、示談でなごやかに解決すればいいじゃないか」
「そのために弁護士を雇うんじゃないの?」
と思っている人には申し訳ないのですが、過払い金返還請求で示談や交渉をするためには「裁判を前提」にしておいたほうがいいです。
どうしてかというと、「裁判を起こすくらい本気で請求をしてくる人だけ、相手しよう」と考える債権者がいるからです。
日本貸金業会が公表している「月次統計資料」や「JFSA白書」を見てみましょう。
資料では毎月、または毎年いくら過払い金を返還したのかがまとめられています。
資料を見ると、請求が1兆円近くあった2008年のピークからはだいぶ減ってきてはいますが、2014年、そして2015年でもいまだに年間2000億円から3000億円くらいの過払い金請求が起きているのです。
貸金業者もビジネスをしているわけですから、過払い金があるかどうかわからない人や、少額すぎる人をふくむすべての請求につきあっていたら、すぐに倒産してしまいます。
そこで、「ひやかし」の請求を防ぐためにも「本気で請求してくる人」に絞って過払い金返還の手続きや示談をしよう、と考えるわけですね。
その点「お金も時間もかかるといわれている、しかも一般的にあまりやりたくはない裁判を起こす」相手なら本気に違いないので、貸金業者もきちんと対応しよう、と判断します。
実際、ただ「過払い金を返してほしい」と請求してもなしのつぶてなのに、訴訟を起こしたら1ヶ月もたたずに示談や交渉をもちかけてくる、なんてケースも少なくありません。
じつはそれも当然で、訴訟を起こされてなにも対応しなければ債権者側が敗訴してしまうからです。
もちろん長期間、お金をかけて裁判で最後まで争うケースもありますが、たいていの場合「訴訟を起こす」ことが示談のきっかけになってくれます。
裁判や示談をするときの交渉力で、「戻ってくる過払い金の額」が決まる!
相手が悪質な場合をのぞけば、過払い金返還請求における「裁判」は「債権者を話し合いの場に引っぱりだすための手段」です。
ここで重要なのは、「裁判で白黒つける場合も示談で話しあう場合も、金額は交渉力次第」ということ。
訴えるだけなら弁護士に頼まなくても自力でできますが、万全を期すためにも交渉力のある弁護士に頼るのがおすすめです。
裁判を起こすと、債権者も本気で交渉をしてきます。
あなたが戦うことになるのは、貸金業者の窓口にいる愛想のいいお兄さんやお姉さんではなく、相手の会社が雇った弁護士や、おなじような交渉を何度もしてきたツワモノ担当者なのです。
そんな相手に準備もせず挑んでしまえば、「請求できたのは過払い金の半分だけ」なんて結果になってしまいます。
イチローから三振をとりたいなら、あなたがボールを投げるより、メジャーリーガーに依頼して投げてもらったほうが確実です。
交渉力のある弁護士に依頼すれば、「過払い金をできるだけ多く取り返す」「裁判になった場合は裁判費用を請求してみる」「過払い金があるのに知らせてくれなかった点から、5%の利息を上乗せしてもらう」といった交渉だって可能なのです。
「完済済み」の借金は、時効になるまえに請求しよう!
2006年に貸金業法が改正され、完全施行された2010年以降は過払い金が発生しなくなったので、「いま返済している借金の過払い金返還請求」はどんどん件数が減っています。
ですが、忘れてはいけないのが「完済した借金の過払い金」のこと。
完済した借金に過払い金がある場合、請求すれば取り戻すことができます。
過払い金の時効は10年です。
法改正前後に完済した借金がある人の多くは「2016年くらいに過払い金の時効」を迎えて請求できなくなってしまいます。
もしあなたに「高金利で返済していて、完済してから10年たっていない借金」があるなら、弁護士や司法書士に相談してみましょう。
もちろん、裁判も視野にいれて交渉していくのがおすすめですよ。