任意整理をすると、遅延損害金も将来利息も払わなくていいのはどうして?

「任意整理」をした場合、未払い利息、遅延損害金、将来利息を払わなくて良くなります。

このうち「未払い利息」については、「任意整理だと未払い利息は返さなくてよい」で説明していますが、ほかのふたつに関してはまだ説明していませんでした。

今回は、「遅延損害金」と「将来利息」までカットできるのはどうしてなのか、これらのお金をカットできると、あなたにとってどんなメリットがあるのかを説明していきます。

遅延損害金や将来利息についてあらためて確認をしてから、任意整理のメリットを見つめなおしましょう。

遅延損害金ってなに?

遅延損害金というのは、「返済が遅れたとき、返済が滞ったことへのペナルティとして上乗せされるお金」のことです。

借金の返済が遅れた場合、元金と利息のほかに、ペナルティとして遅延損害金も取りますよ。だから、毎月遅れないようにきちんと返済してくださいね、というものですね。

税金では納税が遅れればそのぶんのペナルティがありますし、CDやDVDのレンタルだって返却期限を守らないと延滞料がかかりますよね。これらとおなじです。

遅延損害金を支払わなくてよくなると・・・?

遅延損害金は、金額がものすごく大きいです。

利息制限法の第4条第1項では、遅延損害金は「法律の制限利息×1.46倍」までとっていいことになっています。

例えば、あなたが20%の利息でお金を借りていたら、遅延損害金は29.2%もかかるのです。

通常の利息に加えて、遅延損害金の返済まで必須にしてしまうと任意整理したって完済は難しいですよね。

未払い利息と遅延損害金をカットできれば、あなたが借金を完済するために必要なのは「元金+将来利息」だけで良くなります。

将来利息ってなに?

将来利息とは、「これからさき発生する利息」のことです。

任意整理をしても、来月返済をすればそのときには利息が発生しているはずですよね。

利息は貸金業者のもうけであり、元金がたくさんあって利率が高いほど発生する利息も高くなります。

将来利息をカットできれば、借金返済がものすごく簡単になる!

債務整理をするくらい困っている人が、はたして高い利息を払いつづけることができるのでしょうか。

遅延損害金と未払い利息をカットしても、将来利息があれば完済するまでずっと利息を払いつづけなければなりません。

もとの利率で返済できないからこそ債務整理をしているのです。

将来利息をカットできれば、任意整理のあと、返した金額がまるまる元金の返済にあてられるので利息を考える必要もないですし、利息がつかないように返済を焦る必要もなくなります。

もともと、債権者は遅延損害金も将来利息も請求していた!

債権者からすれば、債務整理をされて今後手に入るはずだった利息をカットされるのは頭の痛い話です。

そこで、すこしでも自分たちの損失をカバーするために、利息の引きなおし計算や過払い金返還請求はしかたのないことだけど、「未払い利息」「遅延損害金」「将来利息」は払うべきじゃないの? という主張をしていました。

債権者のいいぶんは、「お金の貸し借りをするとき、返済が遅れれば遅延損害金が発生することはきちんと契約書に明記してあるし、納得もしてもらっている! お金を借りた人の一方的な都合で、これまでの遅延損害金や未払い利息を返済に困ったから返さないなんておかしい!」というものです。

ただ、遅延損害金や将来利息などがあると返済が困難になってしまう、というのはさきほど説明した通り。

任意整理は、交渉によって結果を左右することができます。

そのため、弁護士が交渉をがんばって「遅延損害金や未払い利息を払わなくていいようにしよう!」という取り決めをつくりはじめたのです。

各種利息を払わなくて良くなったのは、弁護士会のがんばりがあったから!

最初に、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会という3つの会が力をあわせて「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準(東京三会基準)」をつくりました。

そのあと、日本弁護士連合会(いわゆる日弁連)が主催する全国協議会で、「東京三会基準」が「多重債務者に対する任意整理を処理するための全国統一基準」に選ばれたのです。

全国規模で「弁護士が交渉するときは、債権者がいってくる遅延損害金や未払い利息、将来利息を認めないぞ!」という基準ができたことで、各地の弁護士会や個別に活動する弁護士たちも「遅延損害金や将来利息のカット」を主張するようになりました。

統一基準を守って何度も厳しく弁護士が交渉をした結果、債権者のほうも「どうせ請求をしても絶対に相手弁護士はうなずいてくれないし、請求するだけ時間とお金のムダになるなら、遅延損害金や将来利息の請求はあきらめよう」となったのです。

いまでは当たりまえのようにカットされている「遅延損害金」や「将来利息」ですが、じつは、たくさんの弁護士がけんめいに努力してきた結果がいまにつながっています。

だからこそ、任意整理では弁護士に頼ることをおすすめしているのです。