あなたはどっち?任意整理を「自分でする」か「弁護士に頼む」か

任意整理は、債権者との交渉によって借金を減らしたり、未払い利息や将来利息などをカットしてもらう、という債務整理手続きです。

交渉をして結果を決めるという性質上、「弁護士に頼まなくても自分でできるんじゃないの?」と思う人もいますよね。

こういった手続きを自分でしようと思うのは、交渉力や法律の知識に自信があったり、「弁護士に依頼するとものすごいお金がかかりそうだから」と考えていたりする人でしょう。

たしかに、自分で任意整理をして成功している人もいます。

ただ、できれば任意整理であっても弁護士に依頼したほうがいいですし、最終的にお金もかからないことが多いのです。

自力で返済する、自分で任意整理をするよりも、弁護士に頼んだほうがお得になるのかどうか、今回は「借金がなくなるまで、最終的にいくらかかるのか」を比べてみましょう。

ぜひ、あなたが任意整理を自分でするか、弁護士に頼むかを決めるための判断材料にしてください。

自力で借金の完済を目指す場合にかかる、「総額」を考えてみよう!

まず、自力で借金の完済を目指す場合にいくらかかるかを考えてみます。

あなたがある消費者金融A社から「30万円」を「年利18%」で借りているとします。

返済プランは、「1ヶ月(30日ごと)に1万円」ずつ行っていくとしましょう。

初回の返済では、利息が、

  • 30万円×年利18%÷365日×30日間=4438円

となります。

これは利息なので、1万円返済しても元金は「1万円-4438=5562円」だけへる、ということですね。

この調子で計算していくと、30万円の元金がゼロになるまで「40ヶ月」必要で、利息は総額で「9万9463円」かかります。

つまり、一度も返済を遅れず、真面目に毎月1万円ずつ返済していくと完済までに「39万9463円」かかる、ということです。

弁護士に依頼して、任意整理した場合の「総額」はいくら?

では、債務整理を弁護士に依頼してみましょう。

弁護士を頼った場合、「利息の引きなおし計算による借金の減額」「過払い金があればその返還」「未払利息、遅延損害金、将来利息のカット」ができるので、利息について考える必要はありません。

金利は18%で合法です。

過払い金がないので、「30万円の借金を完済するためには、30ヶ月かけて、毎月1万円ずつ返済すればいい」わけです。総額30万円ですね。

ただ、弁護士に依頼をすると「弁護士報酬」が発生します。

そこで、弁護士報酬の内訳である、

  • 着手金
  • 成功報酬
  • 過払い金の報酬
  • 減額報酬

について触れていきます。

着手金

弁護士に依頼するためにかかるお金です。

どこの弁護士に頼むかによって金額は上下しますが、任意整理の場合「1社あたり2万円から高くても4万円」と思っておきましょう。

ちなみに、弁護士報酬は1社あたりで考えるので、着手金もふくめて2社に頼めば2倍お金がかかります。

成功報酬

成功報酬は「交渉がうまくいった」ことへの対価としてかかるお金で、基本的に「着手金と同額」です。

つまり、任意整理を弁護士に依頼すると、最低でも4万円くらいかかるわけですね。

過払い金の報酬

借金に過払い金がある場合、弁護士が取り返した過払い金の20%程度が弁護士の報酬になります。

10万円の過払い金返還があれば、2万円弁護士報酬に上乗せする、ということです。

減額報酬

減額報酬とは、「債権者が提示してきた条件より、あなたに有利な交渉結果を勝ち取ることができた場合」にかかるお金です。

例えば、債権者が「35万なら和解しますよ」といってきて、弁護士ががんばって「30万円」で話をまとめた場合、差額の5万円減額できていますよね。

そのうち、10%を減額報酬として弁護士に支払います。

最終的な総額は?

今回の例では、過払い金はありません。

かかるのは着手金と成功報酬だけなので、着手金が「2万1000円」だとすると、成功報酬とあわせて「4万2000円」かかります。

弁護士に頼むと完済までに「34万2000円」必要です。

弁護士費用を考えても、自力で返済するより「5万7463円」お得ですよね。

自分で任意整理した場合の「総額」はいくら?

自分で任意整理をして、弁護士なみの最高の交渉結果を得られた場合を考えてみましょう。

「利息は18%なので、過払い金の返還や借金の減額はなし。将来利息などはカット」とすると、面倒な利息の計算はありません。

つまり、完済までにかかるのは「30万円」だけです。

要注意!弁護士でないと、利息のカットは請求できない可能性が高い!

ただ、自分で債権者と交渉をする場合、弁護士なみの条件で和解するのは難しいです。

あなたが弁護士の使っている基準で交渉をしても、債権者が「あなたは弁護士じゃないでしょ? 弁護士の基準なんていわれてもねえ」といわれて対抗できますか?

裁判になってよりお金と時間がかかることもありますし、そもそも任意整理を自分ですると和解できずに終わってしまう可能性もあります。

任意整理は弁護士に頼んだほうが安く、確実に終わらせられるのです。