知らないと損する!?無視できない特定調停のデメリット5つ

特定調停は、債務整理のなかでもお金がかからず、自分だけで取り組めるといったメリットをもつ手続きです。

ただ、自己破産や任意整理とおなじように、特定調停にも見落とすと後悔してしまう大きな「デメリット」もあります。

特定調停を成功させるためには、手続きの手軽さやメリットよりもデメリットをきちんと把握することがなにより大切です。

今回は、ぜひ知っておきたい「特定調停のデメリット」を紹介していきます。

デメリット①自分で手続きするため時間も労力も必要で、じつは勉強も必須!

特定調停では、あなた自身が裁判所に足を運ばなければなりません。

1社に対して特定調停をするなら、申し立てをするため、そして裁判所から呼び出されて事情を話すために最低2回は度裁判所に行く必要があるのです。

もちろんこれは1社だけの話ですから、何社も相手に特定調停をすると、何度も何度も裁判所に行く時間を作らなければなりません。

裁判所は基本的に平日の日中にしか開いていないので、日中働いている方は時間をつくるのも一苦労なのです。

特定調停の効果があるかは、自分で確認しないとわからない

特定調停は、やれば確実に借金がへる手続きではありません。

例えば「利息の引きなおしをしてもまったく借金がへらなかった」「じつは、どうやっても3年で返済できないことがわかった」なんて場合、調停をしても意味がないので調停を取りさげたほうがいいです。

そうと知らずに調停を成立させてしまったとしても、つくった調停調書は裁判の判決とおなじ効力をもつので、基本的に絶対遵守。

破れば強制執行もありますから、どうにかして返済していかなければなりません。

特定調停は「やったほうがいい!」とわかる人でないと時間をムダにしてしまいます。

そして、借金がへるかどうかを自分で確かめるためには債務整理の専門知識が必要なのです。

デメリット②任意整理ほどすぐに取りたてはとまらない

任意整理などでは、依頼を受けた弁護士が債権者に連絡をすればすぐに取りたてがとまります。

ですが特定調停では、裁判所に申し立てを行って、書類が認可されるまで1日から2日ほどかかるのです。

提出書類にミスがあったり、申し立ての用語や手続きが難しくて時間がかかったりすると、いつまでたっても取りたてはとまりません。

デメリット③将来利息はカットできても、未払い利息と遅延損害金の返済は必要!

特定調停では、利息の引きなおし計算と将来利息のカット、そしてあなたの返済能力にあわせた現実的な返済プランを考えます。ここまでは任意整理といっしょです。

ただ、特定調停では「未払い利息」や「遅延損害金」のカットまではできません。

こまかいことは「遅延損害金、将来利息を払わなくてよいことのメリットとは」で説明していますが、任意整理でこれらの利息をカットできるのは、あくまでも弁護士会が独自の基準でたくさんの債権者と争ってきたからで、特定調停は無関係なのです。

特定調停中も未払い利息は上乗せされますし、調停成立までの期間によっては返済がより難しくなってしまいます。

デメリット④官報にのらなくても、「金融ブラック」は避けられない!

特定調停をして、あなたの名前が官報にのることはありません。

ただ、特定調停は金融事故のひとつです。信用情報機関では、自己破産や民事再生とおなじく「事故情報」としてあつかわれます。

信用情報機関に事故情報がのると、いわゆる金融ブラックの仲間いり。

特定調停をしてから5年くらいは、新しくお金を借りたりローンを組んだり、クレジットカードをつくったりできなくなってしまうのです。

デメリット⑤裁判所によって対応がまちまちなので、要注意!

じつは、特定調停のあつかいは裁判所によってまちまちです。

強制執行の停止命令を出してもらう場合も、裁判所によって「いくら担保を用意すればいいか」が違います。

判断基準がちょっと違うくらいならまだいいものの、なかには「調停をしたいなら、保証人をたてるように」といってくる裁判所もあるのです。

保証人をたてるということは、もしあなたが返済できなくなった場合、保証人に責任をとってもらうということですよね。

本人は1円も借金していなくても、連帯保証人になった人は「保証人になった金額ぶんの借金をしている人」としてあつかわれます。

そうすると例えば、保証人が自分のローンにとおらなくなる・・・なんてこともあるわけです。

借金で苦しむ人を手助けする制度を利用するために、新しく借金を抱える人を用意する、というのも本末転倒な話ですよね。

ですが、こういった裁判所もあるわけです。

特定調停は、手続きの仕方を裁判所で教えてもらうこともできるので、手続きするだけなら簡単です。

ですが一方で、制度や借金についてきちんと理解していないとそもそも調停をする意味がなかったり、無理のある返済計画をたてて結局返済できなくなったりする怖さももっています。

簡単なようで難しい、そんなデリケートな制度だからこそ、メリットとデメリットを見極めてから利用するのがおすすめです。