「小規模個人再生」手続きにかかせないふたつの条件とは!?
小規模個人再生は、個人再生手続きのなかでも基本的な手続きのやり方です。
給与所得者等再生をしたい人でも、小規模個人再生が求める利用条件を満たしていないとそもそも手続きできません。
今回は、小規模個人再生を利用するにあたって絶対にクリアしていなければならない「条件ふたつ」をよりくわしく説明していきます。
利用条件のちょっとした疑問や、「自分は小規模個人再生はできるのか」といった悩みをいっしょに解決していきましょう。
条件その①「借金総額が5000万円以下」であること!
ひとつめの条件は、「借金総額が5000万円以下」であることです。
より正確にいうと、「住宅ローンの残額はべつとして、利息の引きなおし計算をしたあとの、あなたの借金総額が5000万円以下」なら手続きできます。
では、こまかい質問や疑問を考えてみましょう。
どうして住宅ローンはふくまなくていいの?
個人再生手続きで「住宅ローンをのぞく借金が5000万円以下」という条件が設定されているのは、「家という大きな資産を取りあげないことで返済のモチベーションをあげ、個人を立ちなおらせる」のが目的だからです。
家を差し押さえられたら生活する場所がなくなりますよね。
どんどんお金をかせいで返済してもらって経済的に立ちなおってほしいのに、寝起きする場所もないのでは大変です。
人によっては、その時点でやる気がなくなってしまうこともあるでしょう。
あきらめて自己破産をされてしまうと結局債権者も損をしてしまうので、借金を回収するためにも住宅ローンだけは特別あつかいされているのです。
担保つきの借金やローンがある場合は?
担保つきの借金やローンがある場合、「正確なローンの残額」だけで5000万円をこえなければ問題ありません。
例えば、返済中の自動車ローン。
300万円で購入した車のローンがあと200万円のこっていて、車の資産価値が80万円だったとします。
ローンが返せないと、80万円の価値がある車は担保として引きあげられますよね。
この場合、正確な借金の残額は「200万円-80万円=120万円」と考えます。
商売をしている人だと担保をいれてお金を借りたり、建物を借りたりするので借金額がどうしても大きくなりがちですが、こういう計算をするので意外と手続きできることが多いです。
ほかの人の保証人になっていると・・・?
あなたがだれかの借金の保証人になっている場合、あなたが保証している金額はまるまるあなたの借金額としてあつかわれます。
例えばあなた自身が1000万円の借金をしていて、あなたのきょうだいが4100万円のマンションをローンで買うときの保証人としてローンの全額を保証していれば、借金総額は5100万円。つまり、手続きはできないのです。
5000万円以上の借金がある人はどうすればいいの?
条件として5000万円のしばりがあるのは、「個人再生手続きが、民事再生手続きを個人で使えるように簡単にしたものだから」です。
5000万円をこえるような借金はなかなか個人ではできないので、このラインをこえた借金をしている人は通常の民事再生手続きや自己破産をすることになります。
条件その②「継続して安定した収入が見込める」こと!
ふたつめの条件は、「安定した収入を今後継続的に手に入れる見込みがある」ことです。
個人再生をしたあと最低3年間は、毎月一定額を弁済しなければなりません。
とにかく今後3年、生活費と弁済が無理なくできるくらいの収入がないと、どうしようもないのです。
サラリーマン、自営業、年金受給者・・・どうなるの?
小規模個人再生が求める条件は、今後の収入が安定している、と証明できること。
なので、サラリーマンでも自営業でも、年金をもらっている人でも公務員でも、フリーターでも収入さえ安定していれば手続きできます。
ただ、「短期間で転職をくりかえしている」「アルバイトなどの非正規雇用で、雇用期間がみじかい」「期限のある派遣労働者で、契約が今後もつづくかわからない」といった場合は、「今後収入が安定する見込み」があるとはいいづらいので不利です。
無職だと利用できない?
無職でも再生計画を提出するまでに就職していて、その職で安定した生活が送れるなら手続き可能です。
正社員として登用された、公務員になった、などですね。
就職といってもアルバイトだったり、過去の職歴に問題があったりすると難しいです。
生活保護を受けている人も利用できない!
無職でも就職すれば手続きはできる。
なら、生活保護を受けている人はどうなるのでしょうか。
生活保護は、日本国憲法の第25条に定める生存権をまもるために、「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができる金額を税金でカバーしよう、という制度です。
ようするに、生活保護でもらえるお金というのは「必要最低限の生活費」であって「ギリギリの生活費から返済する余裕は、1ミリもない」ため、生活保護を受けている人が小規模個人再生手続きをすることはできません。
ふたつの条件、あなたはクリアしていますか?