どんな人なら使えるの?住宅ローン特則を利用するために必要な条件とは

「借金の返済を何ヶ月もしていない!」

「取りたてがすごくてどうにかしたい!」

「このままじゃ持ち家を差し押さえられてしまうけど、なんとか家はのこしたい!」

借金をなんとかしたいと考える人はたくさんいますが、それぞれ状況は違います。

住んでいるところも、年齢も収入も職業だって人それぞれ。家族の有無もあるでしょう。

とくに持ち家をもっていてまだ住宅ローンの返済中だ、なんて場合は家をのこしたまま借金を整理したい、と考えますよね。

そんな人のためにあるのが個人再生であり、住宅ローン特則です。

ただ、小規模個人再生や給与所得者等再生にも利用条件があるように、効果の大きな住宅ローン特則にだって利用条件が設定されています。

ルールを守らなければ、住宅ローン特則は利用できません。

今回は、住宅ローン特則を使うために必要な条件をまとめて説明していきます。

住宅ローンを「滞納しているかどうか」が重要!

住宅ローン特則を利用するにあたって、一番最初に考えなければならないのが「あなたが住宅ローンの返済を滞納しているかどうか」です。

住宅ローン特則の利用条件は、基本的に「滞納していない人を対象」につくられています。

そのうえで、「滞納している人」でも利用できるように、条件を追加してあるのです。

というわけで早速、「住宅ローンの滞納がない」場合と「住宅ローンの滞納がある」場合の利用条件を確認してみましょう。

住宅ローンの滞納がない場合の利用条件

あなたが個人再生手続きを申し立てるまでに住宅ローンの滞納をしていない場合、ふたつの条件をクリアできれば「住宅ローン特則」を利用できます。

条件は、

①住宅ローンの返済を問題なくつづけることができる

②個人再生後の弁済金をきちんと払えること

です。

①住宅ローンの返済を問題なくつづけることができる

住宅ローン特則は、「個人再生をしても、住宅ローンをそのまま支払いつづけるなら持ち家を手放さなくていい」というルールのためにある特則です。

住宅ローンの借金額はサラ金からの借金とおなじように整理されることはないので、あくまでも住宅ローンをそのまま支払いつづける必要があります。

②個人再生をしたあとの弁済をすることができる

個人再生をすると、あなたの借金額に応じた弁済金を支払うことになります。

小規模個人再生なら「最低弁済基準額」を、給与所得者等再生なら「最低弁済基準額か、可処分所得の2年ぶんのどちらか多いほう」を3年のあいだ毎月支払っていくわけです。

住宅ローン特則を利用して、住宅ローンの返済をしたから弁済金が払えない、なんてことになったら困ります。

なので、「弁済金も住宅ローンも、両方滞納せず支払える返済能力がある」ことが住宅ローン特則の利用条件になっているわけです。

住宅ローンの滞納をしている場合の利用条件

個人再生をするとき、すでに住宅ローン特則を滞納している場合、①②の条件にくわえて、

③住宅ローンを半年以上延滞していない

④住宅ローンの延滞ぶんを支払うことができる

というふたつの条件を追加でクリアしなければなりません。

③住宅ローンを半年以上延滞していない

どうして半年なのかというと、あなたが住宅ローンの返済を半年滞納した時点で、債権者が銀行から保証会社にかわってしまうからです。

住宅ローンの契約をするときは、あなたがローンを支払うことができなかったときのための「保証人」を要求されます。

家族や知り合いを連帯保証人にするという方法もありますが、住宅ローンは借りる金額が大きいこともあって、「保証会社」を保証人にするケースが多いです。

あなたが住宅ローンを滞納すると、あなたにお金を貸しているもとの債権者である銀行は、保証会社に「かわりに返済してください」と請求をします。

すると、かわりに返済をした保証会社が、今度はあなたに「住宅ローンを払っておいたから、そのお金を払ってね」といってくるわけです。

ちょっと難しい話になってしまいますが、この時点であなたが支払うお金は「家を買うためにした借金の返済」ではなく、「保証会社があなたの借金をたてかえたことに対する、被害の補てん」になってしまいます。

ようするに債権の種類がかわってしまうので、「家を買うための借金である住宅ローン」にのみ使える「住宅ローン特則」は利用できなくなってしまうのです。

住宅ローンの滞納が半年をこえると債権者が保証会社にきりかわってしまうので、半年がひとつの目安になっています。

④住宅ローンの延滞ぶんを支払うことができる

住宅ローンの返済を延滞していたら、元金のほかに利息や遅延損害金がたまっていますよね。

返済を滞納している人が住宅ローン特則を利用するためには、これらの延滞金もきっちり支払わなければなりません。

滞納する期間がながければ金額も大きくなるので、当然支払うのは大変です。

そもそも個人再生手続きをするためにもお金がかかりますから、延滞をしている場合はかなりまとまった金額を用意しなければならないのです。

あなたは、これらの条件をすべてクリアできていますか?