再生計画どおり返済できなくなったらどうなるの?
個人再生を申し立てて、提出した再生計画案の認可も確定し、とうとう返済がはじまった。
しかし、なんらかの事情があって途中で再生計画どおりの返済ができなくなってしまった。
そんなとき、あなたはどうすればいいと思いますか?
選択肢はいろいろありますが、最低限「途中で返済できなくなったら、こうすればいいんだ!」ということがわかっていないと、対処のしようがありませんよね。
今回は、「返済計画の延長」を中心に、あなたが再生計画を履行できなくなった場合の対処法を紹介していきます。
どうしようもない事情があるなら、返済期間を2年延長できる!
通常、確定までいった再生計画案は変更することができません。
個人再生の確定は裁判所が保証するもので、一般的にいう裁判の判決とおなじ重みをもつものだからです。
「この人は窃盗の罪で罰金50万円求刑したけど、とくに理由もなくやっぱり30万円でいいや!」なんて裁判所がいいだしたら、大変なことになってしまいますよね。
ただ、個人再生手続きに成功して、順調に返済をつづけるなか、「あなたにとってどうしようもない理由」で、「どうしてもいまの返済計画をまもれない」場合、返済計画を2年延長することができるのです。
再生計画案の返済期間が3年の人は5年に、5年で返済する計画をたてていた人は7年に延長できるわけですね。
あくまでも「延長」で、弁済額はそのまま!
2年延長しても、借金がへるわけではありません。
返済計画の延長の手続きそのものにお金がかかりますし、延長しても完済できないなら手続きは認められないので注意が必要です。
期間の延長はなかなか認めてもらえない!
救済策としての延長制度ですが、利用するのはものすごく難しいです。
本来動かしがたい再生計画を特別に変更するわけですから、裁判所や債権者が納得できるだけの理由が必要です。
わかりやすいところでいうと、「いきなり勤めていた会社が倒産してしまった!」などですね。
延長したいと思ってもできない可能性があることは、覚えておかなければなりません。
ちなみに、住宅ローン特則の「住宅ローンの返済期限を10年延長する」返済プランを利用している場合、理論上はどちらの延長制度も併用できますが、実際には個人再生の返済期間を延長できないと思っていたほうがいいです。
住宅ローンの返済期間を延長していなければ、個人再生の弁済額の返済期間を2年延長することは可能です。
もちろん、住宅ローンも弁済額もきちんと支払うことが前提です。
債権者があなたのことをあきらめたら、再生計画の取り消しを申し立てられる
返済計画の途中で弁済できなくなるということは、債権者はお金を回収できないということです。
この場合、債権者は裁判所に対して「再生計画そのものの取り消し」を申し立てることができます。
裁判所があなたの返済状況を見て、「返済は無理だ」と判断すれば再生計画は取り消しです。
再生計画案が不認可になったときとおなじ状況ですね。
あなたはあらためて「のこった借金をどうするか」考えなければなりません。
ちなみに取り消しになった時点で、抵当権のあるローンで購入した車や住宅は手放すことになってしまいます。
特定の条件を満たしていれば、ハードシップ免責で残債を免除!
どうしようもない事情があって返済計画がとどこおり、あなたがこれまで返済計画の4ぶんの3以上の返済を完了している場合、「ハードシップ免責」を利用することができます。
くわしいことは「ハードシップ免責とは」で説明していますが、「残った借金のほとんどを返済しているなら、のこりの借金くらいは免除してあげてもいいんじゃない? 本人のせいで返済できなくなったわけじゃないんだから」というお助け制度です。
もし利用できるなら、ぜひとも利用を考えましょう。
個人再生手続きを、また新しく申し立てるという方法も
返済期間を延長する、債権者から再生計画の取り消しを求められる、ハードシップ免責を利用するほかに、「いま現在の返済能力にあわせて、再度個人再生手続きを行う」という手もあります。
給与所得者等再生を利用している人は認可から7年は給与所得者等再生を申し立てできない、という制限がありますが、小規模個人再生なら再度申し立て可能です。
もちろん、小規模個人再生の場合はあらためて債権者の同意を得る必要があるので、簡単に認可されるとは限りません。
それでも、前向きに返済を考えられます。
どうしても返済できなくなったら、「自己破産」「任意整理」
例えば会社が倒産して収入がゼロになったので、個人再生の返済計画どおりに返済することができない。
こんな状況なら、「自己破産」か「任意整理」を選べます。
自己破産をすれば高額な財産を失うかわりに借金はゼロになりますし、任意整理は債権者との話し合いなので、場合によっては多少返済を待ってもらえる可能性もあるのです。
ただ、返済計画がまもれないことであなたが不利になることはあっても、有利になることはありません。
できれば、返済が遅れることのないように気をつけましょう。