あなたにもできる!自己破産の申し立て要件とは

「自己破産」

借金で悩んでいる人、毎日のようにやってくる取りたてに困っている人、裁判所からの通知がきて真っ青になっている人・・・多くの人にとって、自己破産ということばは軽いものではありませんよね。

あなたにとって、自己破産はどんなイメージのことばですか?

借金がチャラになる。帳消しになる。返済や取りたてに追われなくて良くなる。

人によっては外聞が悪い、人生に取り返しのつかないダメージが残ってしまう・・・といったマイナスイメージをもっていることもあるでしょう。

ただ、自己破産はけっしてあなたを傷つけるためのものではありません。

返済不可能な借金をチャラにすることで、借金に苦しんでいる人の経済的な再スタートを助ける、債務整理の最終手段

借金で困っている人が最後の最後に頼ることができる、あなたにとっての助け舟。

自己破産とはいわば、火事がおきたときの消火器や火災通報装置、船や飛行機にのっていてトラブルがおきたときの救命胴衣のような存在なのです。

「握力が60キロ、体重が80キロないと利用できない消火器」なんてものがないように、じつは自己破産の申立要件というものはなく、借金で困っている人であればだれでも利用できるようになっています。

破産手続き(自己破産の申し立てを法律用語でこう呼びます)の申立要件がない、ということをもうちょっとくわしく掘りさげていきましょう。

自己破産が目指すもの

自己破産だけではなく、任意整理、民事再生(個人再生)、特定調停すべての債務整理手続きは、「借金で困っている人を助けるため」につくられた制度です。

任意整理なら債権者との話し合いで借金をへらし、民事再生なら裁判所の力を借りて借金を減額して、特定調停なら裁判所をはさんで債権者と話しあって借金を減らしていくことになります。

ですが、どうやっても借金が返済できない場合、というのもなかにはありますよね。

例えば借金を返そうと仕事をがんばりすぎて体を壊し、働くことができなくなってしまった場合。

働くことができない以上、収入がないので借金の返済は不可能です。

ただ、それはお金を借りている債務者の理屈で、お金を貸している債権者はビジネスをしているわけですから「この人だけ特別に借金の返済をまってあげよう」なんてことはできません。

当然、返済がおくれれば取りたてをします。

絶対に返せないお金を取りたてられる、絶対に返ってこないお金を取りたてる、どちらにとってもうまみのない話ですよね。

こういった状況をなんとかするために、自己破産は「破産=借金の返済が不可能であることを確かめ」て、「免責=借金をチャラにする」ことができる制度としてつくられました。

もちろん、借金苦で夜逃げや自殺をする人がいる、ということを社会的に問題視した、という事情もあります。

だからこそ、破産手続きの申し立てには「借金の返済ができない」という事実しか必要ないのです。

自己破産の「破産」「免責」ってなに??

「破産」と「免責」についてふれておきましょう。

破産とは、法律用語で「どうあがいても借金の返済が不可能」な状態を指すことばです。

免責は、くわしくは「自己破産をする最終目標は「免責許可を得る」ことだった!」などの記事でふれていきますが、ようするに「借金をチャラにすること」です。

じつは自己破産の手続きは、破産の状態であることを裁判所が確認する「破産手続き」と、破産状態なので借金をチャラするかどうかを裁判所が決める「免責手続き」にわかれています。

さきに正式に破産であることを確認して、それから免責できるかどうかを考えるわけですね。

例えば個人再生なら、「住宅ローンをのぞく借金が5000万円以下」だとわかっている人でないと利用できません。

手続きのまえに、申立要件をクリアしているか自分でチェックしておく必要があります。

ですが、自己破産の場合は裁判所が破産状態かをチェックするところから手続きがはじまるので、「自己破産はだれでも申し立てできる=申立要件がない」といえるのです。

どのくらい借金があれば、自己破産を利用できるの?

自己破産は、「返済不能な借金を抱えている人」ならだれでも利用できます。

なので、じつは借金の額がいくらであっても返済ができない状態なら自己破産することができます。

自己破産というと、なんとなく借金が数百万円、数千万円ないと利用できないようなイメージがあるかもしれませんが、極端な話あなたの借金が「10万円」でも申し立ては可能なのです。

もちろん手続きすれば必ず自己破産できるわけではありませんが、例えばほかの債務整理をして3年の返済期間をつづけるなかで、おそらく返済不可能になってしまうだろう、と予想できる場合。

もしくは、数年後に支出が増えることが予想できていて、そのまえに借金をチャラにしておきたい場合などでも利用できるわけです。

自己破産は、人によっては柔軟に活用することもできる手続きです。

あなたにとって自己破産がお得なのか、利用できるのか、できれば一度、専門家に相談して考えてみませんか?