自己破産したら、会社に知られてしまうのか
自己破産の利用を考えている人の多くが、「自己破産をしたら会社や家族など、まわりの人に自己破産したことがバレてしまうんじゃ!?」という不安をもっています。
自己破産の制度そのものは法に定めのある正当なもので、なんら恥じることではないのですが、なんとなく気分的にだれにも知られたくない、もし会社に知られてしまったら出世やボーナスの査定にひびいてしまうんじゃないか・・・なんて考えてしまうわけですね。
たしかに、「自己破産をした、もしくはしようとしている」という事実がまわりの人に知られてしまうのはきもちのいいことではありません。
社内の規定や上司の考えによっては、出世コースから外れてしまうこともあるでしょう。
それどころか、自己破産の職業制限の対象になっている人なら一定期間仕事ができなくなってしまうので、大問題です。
できればバレたくない。
バレるとしたら、どういうふうにバレるのか知っておきたい。
そんなあなたのために、今回は「自己破産をすると他人にバレてしまうのか」という疑問を解消していきます。
基本的に、自己破産をしても会社にはわからない!
いきなり結論です。
あなたが自己破産をした、もしくは自己破産しようとしているという事実は、基本的に会社に知られることはありません。
もちろん会社からお金を借りていれば、あなたからの申し立てを受けた裁判所が債権者である会社に事情を聞くことになるので、バレてしまいます。
ですが、特別な事情でもないかぎり自己破産の事実が会社にバレることはないのです。
これだけでは納得できないでしょうから、もうすこし説明をくわえます。
「官報にのる」って?
自己破産の手続きに成功すると、あなたの住所氏名は「官報」という政府の新聞のような書類にのります。
官報は紙のものを購入することができ、期間は限定されていますが無料でネットでみることもできる書類です。
あなたの名前が官報にのっているときに会社の人や知りあいが官報を見たら、当然あなたが自己破産をしたことはわかってしまうわけですね。
ただ、わざわざ会社の同僚の名前と住所を調べて毎回官報をチェックする、なんて面倒なことをする人はまずいません。官報を良くみるのも、せいぜい貸金業者くらいのもの。
なので、官報からバレる可能性はものすごく低いです。
自宅になにかの書類が届くことはある?
家族といっしょに暮らしている場合、家族に自己破産していることを隠しとおすのは難しいです。
どうしてかというと、自己破産は裁判所に申し立てをする手続きで、裁判所からは必要に応じてあなたのもとに書類が送られてくるからです。
独身ならともかく、家族と同居していて家にとどく書類をすべて先回りして確保する、というのはちょっと現実的ではありませんよね。
ちなみに、家に届く書類から会社に自己破産のことがバレることはありません。
自分のデスクのうえに堂々と自己破産の申立書を置いていれば、話はべつです。
「退職金計算書」に要注意!
ひとつ注意しておきたいのが、「退職金計算書」という書類です。
あなたが自己破産をするときは、「もしもいま会社を退職したら、退職金がいくらでるのか」を計算するための書類を会社に申請して、裁判所に提出することになります。
退職金がない職場でも、「退職金がないという証明」が必要です。
「いま会社を辞めたら、退職金がいくらもらえるか計算してください」とふつうに働いている状態で会社にお願いをするわけですから、そこから事情をきかれて自己破産のことがバレる、という可能性があるわけです。
とはいえ、退職金計算書のかわりに会社の就業規則(退職規定)のコピーを用意したり、裁判所に相談して退職金の書類を免除してもらったり、「住宅ローンの審査に必要なので・・・」とごまかして申請したりという対策も用意されているので安心です。
もし、会社に自己破産の事実が知られるとどうなるの?
会社にあなたが自己破産していることが知られても、「自己破産するやつなんてクビだ!」といわれることはないので安心しましょう。
上司や同僚からどう見られるかという問題こそあるものの、債務整理を理由に従業員を解雇することは不当解雇であり、労働法で認められていない行為なのです。
会社にはバレなくても、あなたの仕事が職業制限の対象なら問題あり!
ただし自己破産には職業上の欠格事由というものがあって、特定の職業の人(士業や警備員など)は「手続きのあいだ、一定期間は仕事をすることができない」ようになってしまいます。
どんな職業だと欠格になってしまうかは「え?仕事ができなくなる?!自己破産による「職業の欠格事由」について」で紹介していますので、ぜひ一度確認してみてくださいね。
自己破産をしても、会社にバレることはありません。
ただ、自己破産は時間のかかる手続きですし、免責を得たあと経済的にもちなおすところまでがんばる必要があります。
会社に、家族に大きな隠しごとをするのは一苦労です。
できれば自分から自己破産することを会社や家族に相談し、積極的に自己破産の成功を狙っていくのがおすすめですよ。