自己破産するなら知っておこう!「同時廃止手続き」と「破産管財手続き」
じつは、自己破産を申し立てたあとの手順には、「同時廃止手続き」と「破産管財手続き」という2種類の「やり方」が用意されています。
くわしいことはこれからふれていきますが、あなたが自己破産をしたとき、同時廃止手続きと管財手続きのどちらを利用することになるのかによって、自己破産が無事おわるまでの期間や手順、面倒さがかわるのです。
自己破産は、時間のかかる手続きです。
あなたが免責を得られるかどうかを審査するのは裁判所の仕事ですが、だからといって裁判所から手続きについて指示されるまでじっとまっているだけ、というのは時間のムダというもの。
実際の手続きの内容や違いについて知っていれば、よりスムーズに手順を進行できるようになります。
自己破産の申し立てをしてから「あれ? いまなにをしているんだっけ!?」なんてことにならないように、いまのうちに「同時廃止手続きと管財手続きの違い」を知っておきましょう。
「同時廃止手続き」と「管財手続き」ってなにが違うの?
同時廃止手続きと管財手続きのなにが違うのかというと、あなたが自己破産の申し立てをして、免責を得るまでに行われる「手続きの数」が違います。
自己破産をした場合、あなたがもっている高額な財産は差し押さえられ、その売上が債権者に対して平等にわけられることになりますよね。
このとき、裁判所は「差し押さえをする」「債権者に公平にわける」ための人材として、「管財人」という人を任命するのです。
手続きの違いは、「管財人の仕事があるかどうか」ともいえます。
それぞれの手続きにどのような違いがあるのか、ちょっと確認してみましょう。
同時廃止手続きのながれ
同時廃止手続きでは、自己破産の申し立てをして免責を得るまで、
①あなたが裁判所に自己破産の申し立てをする
↓
②破産の手続きが正式に決まって、裁判所の調査がはじまる
↓
③裁判所があなたに免責許可をだすかどうかを審議する
↓
④結果発表!問題がなければ免責が決まる
↓
⑤免責の確定!
というながれで進んでいきます。
手続きのほとんどは裁判所が行うもので、面倒なこともありません。
管財手続きのながれ
では、管財手続きでは破産の申し立てをしてから免責が確定するまで、どのような手順を踏むのでしょうか。
①あなたが裁判所に自己破産の申し立てをする
↓
②破産の手続きが正式に決まって、裁判所の調査がはじまる
↓
③裁判所が「破産管財人」を決める
↓
④破産管財人との話し合いと、あなたの資産の調査を行う
↓
⑤あなたの財産をどのようにわけるか、債権者と意見調整する
↓
⑥裁判所があなたに免責許可をだすかどうかを審議する
↓
⑦結果発表!問題がなければ免責が決まる
↓
⑧免責の確定!
というふうに、あきらかに「管財手続き」のほうが手順が多くて大変なのです。
できれば手順のすくない「同時廃止手続き」を利用したいところですが、あなたがどちらの手続きをするのかは、原則的に「ある条件」を満たしているかどうかで決まってしまいます。
あなたはどっち?「同時廃止手続きできるかどうか」のポイントとは
あなたが自己破産の申し立てをしたあと、「同時廃止手続き」を利用することになるのか、それとも「管財手続き」を利用することになるのかを決めるのは、「あなたが自己破産をしたときにもっている資産の内容、金額」です。
2種類の手続きの違いは「管財人の仕事があるかどうか」だ、という話をさきほどしましたよね。
「管財人の仕事があるのか」をおおざっぱにいいかえると、「20万円以上の財産をもっているかどうか」になるのです。
「20万円以上の資産」をもっていなければ、「同時廃止手続き」ができる!
ちょっと考えてみてください。
自己破産をした人が、家財道具から明日会社に着ていくためのスーツまで、もっているものをなにもかもすべて差し押さえられたら、はたして生活していけるでしょうか。
どう考えても不可能ですよね。経済的な再出発なんて、夢のまた夢の話になってしまいます。
そのため自己破産についてのルールを定めている「破産法」では、自己破産をしたあとも最低限の生活ができるように、差し押さえていいのは基本的に「売ると20万円以上の価値がある資産と、99万円以上の現金」だけだよ、と制限をしています。
いいかえれば、20万円以上の資産や99万円以上の現金をもっていない人の申し立てにまで管財人を任命して、あれこれ調査するのは時間と人件費のムダになってしまう。
そこで、「20万円以上の資産をもっていない」場合は、「同時廃止手続き」といって管財人を決める手順をとばし、いきなり免責の審議に進むことができるように、簡易版の手続きを用意しているわけです。
とはいえ、自己破産をするほど借金に追いつめられている人のほとんどは高額な資産や多くの現金なんてもっていません。
実際の手続きは、「同時廃止手続き」のほうが主流になっています。
同時廃止手続きは、お金をもっていない人に対する、いわば例外的な対応です。
ただ、手続きが簡単になるならそれに越したことはないですよね。