資産がある人は知っておくべき、「管財手続きのデメリット」の話

自己破産における「管財手続きのデメリット」を質問されて、すぐに答えることはできますか?

あなたが20万円以上の資産や99万円以上の現金をもっていなければ、あなたの資産を調査することなく「同時廃止手続き」でさくっと自己破産を進められます。

ただ、もし現金換算で20万円以上の資産をもっている、現金が99万円以上あるなら、「管財手続き」をしなければなりません。

「自己破産申し立て後の手順|同時廃止手続きと管財手続きの違い」や「どんな場合に利用することになるの?「破産管財手続き」5つのパターン」などでふれているとおり、同時廃止手続きにくらべると管財手続きはどうしても複雑になりがちです。

「裁判所が管財人を指名する」「管財人があなたの借金や資産状況をチェックする」という手順が必要になるからですね。

とはいえ、管財手続きのいったいなにがいけないのでしょうか。

今回は具体的な管財手続きのデメリット、そして管財手続きをする人が抑えておきたい心得をひとつご紹介します。

管財手続きは、同時廃止手続きより時間がかかる!

管財手続きは時間がかかります。

おおよその目安でいえば、自己破産を同時廃止手続きで行う場合、手続きが終わるまでに必要な期間は4ヶ月。

一方で管財手続きをすることになった場合、手続きの終了までにすくなくとも半年はみておかなければなりません。

どうして管財手続きのほうが時間がかかってしまうのかというと、「管財人による各種のチェック」があるぶん手間がかかるからです。

また、管財人が指名されるということは、「差し押さえをして現金化し、債権者に分配する財産がある」ということ。

現金や預金などのわけやすいものならともかく、不動産や車は売ってお金になるまで時間がかかります。

同時廃止手続きよりも手順がふえて長期化するだけでなく、買い手がみつかるのが遅くなればなるほど、手続きの進行も遅れるのです。

時間がかかるとなにがいけないの?

裁判所は平日しかあいていません。

管財人の調査にあわせて裁判所にいく回数もふえると、時間をつくるのも大変です。

また、自己破産における「職業制限」に引っかかっている人は、免責を得るまでのあいだずっと仕事ができません。

働くことができなければ来月のお給料もないわけですから、とても大きなダメージです。

それに、手続きのあいだは自己申告以外の借金がないかチェックするため、あなたあてに送られた郵便物はすべて管財人のところに転送されます。

管財人が手元に置いておくもの以外はあなたのところに返ってきますが、それでも書類や郵便物がとどくのは遅れるのはちょっとしたストレスですよね。

かかるお金も、同時廃止手続き以上!

自己破産をするためには、裁判所にお金を支払わなければなりません。

同時廃止手続きでかかるお金は、

  • 申し立て手数料としての収入印紙代1500円
  • 書類の郵送に必要な切手代、だいたい5000円(債権者の数による)
  • 申し立て予納金1万290円

とおよそ数万円でおさまります。

一方で管財手続きの場合、

  • 申し立て手数料1500円
  • 切手代、およそ8540円(債権者の数で変動)
  • 申し立て予納金1万6090円
  • 管財手続きのための予納金、最低20万円から
  • 差し押さえる資産によっては、その一部

と、かるく20万円以上のお金がかかるのです。

管財人をたてるぶん、管財人の報酬も別途必要になります。

金額は裁判所によって違いがあるので、手続きするときは必ずチェックしてみてくださいね。

自分で申し立てすると、費用は倍に!?

ちなみに、予納金20万円というのは「弁護士をたてて自己破産をした場合」の金額です。

もし、あなたが個人で自己破産をして管財手続きをすることになった場合、予納金だけで「40万円から50万円」ほどかかるので注意しましょう。

弁護士がいなければ、あなたが提出する情報が客観的で公平だと証明できません。

裁判所がしっかりとした調査をするぶん、余計にお金がかかってしまいます。

高額な予納金をしっかり払うために必要なこと

弁護士をたてて管財手続きをすると、最低でも20万円、個人で管財手続きをすると最低50万円のお金が必要です。

自己破産をするときは、どうがんばっても返済できないくらい困っているわけですから、数十万円ものお金を用意するのは簡単ではありませんよね。

ただ、自己破産の手続きをするためには、必ずお金を払わなければなりません。

そこでおすすめしたいのが、「弁護士に協力してもらって、こつこつ予納金のつみたてをすること」です。

弁護士に依頼をした場合、あなたの代理人である弁護士が債権者に通知をした時点で、借金の取りたてはとまります。

取りたてをされない期間を利用して、これまであなたが借金の返済にあてていたお金を弁護士に預け、予納金の支払いにあてればいいのです。

手続きの途中で取りもどした過払い金も、支払いにあてられます。

管財手続きは、とにかく時間もお金もかかります。

できるだけミスなく手続きを進めるため、面倒な書類の準備をはぶいて手続きの費用を安くするためにも、ぜひ弁護士に相談してみましょう。