「これ」をやったらすぐ却下!自己破産の「免責不許可事由」ってなに?

自己破産において、

「あなたがもしこれをしたら、免責許可が手にはいらない!」

という条件のことを、「免責不許可事由」といいます。

これをやったら手続きがご破産になってしまう・・・という条件があるのは、「任意整理」「民事再生」「特定調停」でもおなじでしたよね。

自己破産は、とても効果の大きな手続きです。

借金が実質チャラになってしまうわけですから、制度を不正に利用しようとしたり、最初から経済的に再生するつもりがなかったりする人に免責を与えるわけにはいきません。

厳密には「破産法の第252条」で定められている「11種類」の免責不許可事由があるのですが、今回はとくに「あなたも知らなければついやってしまうかもしれない、気をつけておきたい免責不許可事由5つ」を紹介していきます。

自己破産するならとくに気をつけたい、5つの免責不許可事由

免責不許可事由に関する法律の条文はちょっと難しいので、わかりやすくかみくだいてみましょう。

  1. もちものを不当にやすく処分したり、財産を隠したりする
  2. ギャンブルや遊び、投機などのためにお金を借りる
  3. ローン返済中の車やものを、売り払ってお金にする
  4. 裁判所や破産管財人にうそをつく
  5. 破産管財人に非協力的な態度をとる

全部で11種類ある免責不許可事由を、ある程度まとめてしまうとこうなります。

ただ、ぱっと一文で紹介してもこまかいところは良くわかりませんよね。

5つの免責不許可事由について、それぞれ補足していきます。

①もちものを不当にやすく処分したり、財産を隠したりする

免責不許可事由とは、「自己破産において絶対にしてはいけないこと」です。

もちろん原則なので、裁判所が運用するときはある程度の柔軟さもあり、場合によっては免責がとれる場合もありますが、基本的にダメなものはダメだとされています。

なかでもついついやってしまいがちなのが、「財産を隠す」「財産を不当に安く処分する」という行為。

テレビドラマでは、あくどいことをしているお金もちが「裏帳簿」や「隠し口座」をもっている! なんてことが良くありますが、自己破産をするときに自分の財産資産を故意に隠すことは免責不許可事由とされています。

「一般市民に隠し財産なんてあるわけない!」と思うかもしれませんが、例えば「生活費がたりなくて、自分の車を知り合いに安くゆずった」というケース。

見方によっては、「20万円以上の車だと、もっていても自己破産するときに差し押さえられてしまうから、それを避けるためにあえて車をやすく処分したんだ!」ともとらえられますよね。

自己破産では、現金99万円までなら手元にのこしておけます。

「ものを売って現金化する」ことに対して、裁判所は厳しいです。

②ギャンブルや遊び、投機などのためにお金を借りる

もし、あなたがパチンコやスロット、競馬などのギャンブルや夜の町での豪遊、生活レベルにあわないブランド品の買いあさり、株などへの投資、投機などのために借金をしている場合、免責不許可事由になります。

遊びや賭けごと目的でお金を借りている人は、堅実に経済的な再生をするのが難しいからです。

③ローン返済中の車やものを、売り払ってお金にする

あなたがローンを完済していない「もの」を売ってお金にするのは、免責不許可事由に相当します。

こまかいことをいうと難しいのではぶきますが、ローン返済中の物品の持ち主は、立て替え払いをしているローン会社です。

ローンを完済するまで、あなたはあくまでも「仮の持ち主」なので、本来の持ち主に黙って勝手にものを売ってしまうのは、いわゆる「横領」にあたります。

「お金を借りられないからクレジットカードのショッピング枠で買いものをして、買ったものをすぐ質屋にもちこむ」「ローン返済中の車を、友人にやすく売る」といったことは、やめておきましょう。

④裁判所や破産管財人にうそをつく

すべての債務整理手続きにおいて、「うそをつく」ことは厳しく禁止されています。

「個人的にお金を借りているだけで、黙っていれば債権者だってことなんかわからないんじゃないか・・・」なんて気持ちから債権者をごまかす。

「ギャンブルにつぎ込んだなんていえないよ・・・」とギャンブルのためにいくら借金をしたのかうそをつく。

本当にたまたまど忘れしているならともかく、基本的にわざと裁判所や破産管財人にうそをついた場合、うそがわかった時点で免責は得られなくなります。

⑤破産管財人に非協力的な態度をとる

破産管財人は、あなたの借金や返済能力などをくわしくチェックするために裁判所が任命する存在です。

いわば、テストにおける試験官、面接における人事担当者のようなもの。

どんな理由があっても、破産管財人からの質問を無視したり、必要な手続きをしなかったりすれば免責許可はもらえません。

自己破産の申し立てをして破産が正式に認められても、免責が得られなければ借金は整理できないのです。

くれぐれも免責不許可事由にあたるような行為をしないように、自己破産を申し立てるまえから普段のふるまいに気を使いましょう。