自己破産の手続きが、どういうふうに進んでいくのか知りたい!

「就職面接の結果は、そのうち連絡しますね」

「プロポーズしてもらったけど迷ってるの。そのうち連絡するね」

といわれたら、どう思いますか?

「やったあ! いつ連絡がくるかまったくわからないけど、いつか結果がわかるんだ!」なんてよろこぶ人はいませんよね。

むしろ、「いつまで連絡をまてばいいの!?」と不安になってしまうのではないでしょうか。

それもそのはず、人間というのは「いつくるかわからない連絡をまつ」のが苦手なのです。

ただ、おなじ「結果をまつ」状況でも、

「就職面接の結果は、1週間以内にお知らせします」

「プロポーズしてもらったけど迷ってる。今週末まで考えさせて」

というふうに「いつまでまてばいいのか」がわかっていれば、あまりストレスを感じずにすみます。

自己破産は、あなたの人生を左右するとても大きな手続きです。

手続きそのものがすくなくとも4ヶ月、場合によってはかるく半年以上かかるうえ、大半は「裁判所からの連絡をまつ時間」なので、「免責を得られるかがわかるまで、つよいストレスを感じる人」もすくなくはありません。

そんなときに効果的なのが、「手続きの全体像、ながれを知る」こと。

いまどんな手続きが行われているのかがわかれば、「あとどのくらい待てばいいか」予測して安心できます。

というわけで、今回を前編、次回を後編として「自己破産の手続きがどのように進んでいくのか」を順番に説明していきます。

①裁判所にいって、「破産」と「免責」の申し立て!

自己破産における最初の手続きは、「住民票のある裁判所での、破産と免責の申し立て」です。

破産は「借金が返せないことを正式に裁判所に認めてもらう」ため、免責は「返せない借金をチャラにしてもらう」ための手続きです。

破産と免責両方の申し立てが必要といっても、実際には一枚の書類で申し立て可能なのであまり意識する必要はありません。

住民票のある住所と実際にすんでいるところが違う場合は、いますんでいる場所を管轄する地方裁判所で手続きをすることも可能です。

もし提出書類に不備があれば、裁判所書記官という人から連絡がきます。

②裁判所による「破産審尋」の開始!

あなたの申し立てを受理した裁判所は、「本当に借金を返せないのか」を判断するために「破産審尋」を行います。

裁判所による事情聴取のようなものですね。

実際にやることは裁判所によって違いはありますが、裁判所に足を運ぶこともあるので覚えておきましょう。

③同時廃止手続きor破産管財手続きの開始!

ざっくりいって、あなたが「20万円以上の資産か99万円以上の現金をもっているかどうか」によって、裁判所は今後の手続きを「同時廃止手続き」で進めるか、「破産管財手続き」で進めるか決定します。

同時廃止手続きの場合

高額な資産をもっていない場合、差し押さえをしてもお金を回収できません。

財産をチェックして差し押さえるのもムダなので、この段階であなたは正式な「破産」状態として認められ、そのまま④の「免責審尋」に進みます。

破産管財手続きの場合

あなたが高額な財産をもっている場合、差し押さえをすれば債権者にある程度のお金を分配できるので、裁判所は「破産管財人」というものを指名します。

破産管財人が中心となってあなたの資産を調査し、差し押さえをして債権者に分配するわけです。

破産管財手続きになった場合は、「債権者集会」の実施!

破産管財手続きをすることになったら、破産管財人は「債権者集会」をひらきます。

債権者の意見をきいたり、差し押さえた資産をどのように分配するのかを決めたりするのです。

ただ、自己破産の場合巨額の差し押さえをできることなんてほとんどないので、サラ金やローン会社、銀行といった債権者は欠席することが多いです。

事前に「○○万円くらい差し押さえで配分されますよ」という連絡があるので、異議がなければ欠席しても問題ないからです。

債権者集会はだいたい一度でおわりますが、過払い金の返還請求があったり不動産など現金化に時間のかかる資産があったりした場合は、第二回の債権者集会がひらかれることもあります。

④裁判所で「免責審尋」を受ける!

申し立てをして、破産かどうかを裁判所がチェックし、同時廃止手続きか破産管財手続きかを決めたら、今度は「免責審尋」です。

免責審尋では、「あなたの借金は、本当にチャラにすべきかどうか」を裁判所が判断します。

基本的に裁判所によびだされることになりますが、「これをやっていたら免責許可はあたえない」という免責不許可事由がないかぎり、短時間で免責許可をもらえることが多いです。

ちなみに「破産管財手続き」を行っている場合、あなたと面談してあなたの資産をチェックしている破産管財人の意見で、免責許可を得られるかどうかが決まります。

免責不許可事由があっても、裁判所への予納金をしっかり積みたてていたり、破産管財人に誠実に対応していたり、借金についてふかく反省しているとみなされれば、免責を得ることも可能です。

それでは、後半につづきましょう。