自己破産の手続きにおける、免責の「決定」と「確定」を確認しよう!

「自己破産の手続きはどのように進んで行くのか①|申し立て~免責審尋」では、自己破産を申し立てしてから破産審尋、同時廃止手続きか破産管財手続きの決定、そして免責審尋までのながれを紹介しました。

後半の記事では、「免責の決定」と「免責の確定」手続きとその補足、そして自己破産の申し立てをするうえで、絶対に覚えておきたいある注意点についてのお話をしていきます。

⑤免責の決定!

裁判所があなたに対して行う「免責審尋」がおわると、すぐに「あなたを免責にするか」「免責不許可にするか」を決めることになります。

もちろんあなたが提出した書類や、管財人がいる場合は管財人の意見、そしてあなたの態度なども考慮して許可・不許可を考えるのですが、じつはここで「債権者の意見」も確認するのです。

あなたが自己破産をした結果、もっとも影響を受けるのは債権者ですよね。

当事者の意見をきかずに免責について決めるわけにはいかないので、裁判所はまえもって「免責させるかどうかの意見をだすように」と債権者に連絡をしています。

債権者の意見の提出期限は、裁判所が免責審尋をする日の夕方5時まで。

しめきりまでに債権者からの反対意見がなければ、裁判所はあなたの「免責を決定」してくれます。

許可、不許可のどちらでも、1週間くらいで結果を書いた書類が送られてきます。

⑥免責の確定!

免責が決定されたという書類が届いた時点では、まだ免責の手続きは終了していません。

自動車の運転免許試験でいうと、「試験に合格したあと、免許証の交付をまっている状態」です。

試験を合格しても、免許証がないと公道で車に乗れないのとおなじです。

あなたの免責が確定するのは、「官報に自己破産の事実とあなたの住所氏名がのった」とき。

ちなみに、「免責が決まりましたよ」という書類はあなたのもとに送られてきますが、「官報にあなたの名前がのって、免責が確定しましたよ」という連絡はないので、自分で裁判所に連絡して確認する必要があります。

自己破産の証明書が必要な場合は、「免責確定証明書」を裁判所に申請することも可能です。

免責の確定までくれば、あなたの自己破産は完了です。

ぜひ知っておきたい、免責決定に関するまめ知識!

⑤免責の決定に関して、ちょっと補足をしておきます。

「債権者からの反対意見」があったらどうなるの?

免責審尋の前後に、もし債権者から反対意見が提出されたらどうなるのでしょうか。

あなたの免責について債権者から異議があった場合、裁判所は免責についてより吟味することになります。結果として、免責不許可になることも。

「債権者からの意見」ってどのていど集まるの?

とはいえ、実際には債権者から異議を申し立てられることはほとんどありません。

あなたがきちんと事実にもとづいた申し立てをしていれば、異議の申し立てをしたって貸したお金は返ってこないし、結局裁判所の判断で免責になってしまうからです。

「免責不許可」になったらどうなるの?

免責を得られなければ、あなたはあくまでも「借金を返すことはできない、破産法における職業制限などを受ける破産者」であり、「借金はそのまま」です。

なにもしなければ、取りたてだってやってきます。

そこで、免責不許可になった場合は「即時抗告」できるようになっています。

自己破産の免責許可を判断するのは地方裁判所なので、結果に納得いかなければ、そのうえにたつ高等裁判所に改めて審議をしてもらえます。

ちなみに、「官報にあなたの名前がのって、免責が確定」してから2週間以内は債権者が即時抗告することもできます。

ただ、即時抗告で地方裁判所の決定がくつがえるケースは多くありません。

自己破産で「うそをつく」のは、無理・無茶・無謀の三拍子!

ひとつ注意しておいてほしいのは、「自己破産の申し立てにおいて、うそをつくのは絶対にダメ!」だということです。

通常、免責審尋のときに債権者から異議、意見がでることはありません。

あなたの代理人である弁護士や裁判所、場合によっては管財人のチェックをクリアしており、高確率で免責許可がでる、と債権者もわかっているからです。

ですがもし、あなたが「管財手続きより、同時廃止手続きのほうがお金がかからないから資産をもっていないことにしよう」「一部の借金なら、隠していてもバレないんじゃ?」といった考えでうそをついた場合、債権者は容赦なく異議の申し立てをしてきます。

債権者からの意見や裁判所、管財人による調査であなたのうそがバレたら、免責許可は100%もらえません。

うそに対する追求は厳しい・・・

免責審尋では、どうしてうそをついたのかも追求されます。

免責不許可事由がある人でも、あえて管財手続きをしてもらうことで反省の態度を示し、管財人から評価されて免責決定になることもあります。

自己破産は、一生のうちに何度もできる手続きではありません。

厳しい調査でどのみちうそはバレるので、うそをついてもいいことなんてひとつもないのです。

多少のお金や手間をおしむより、とにかく正直に事実を話すことで免責を目指しましょう。