借金で困っている人の最終手段「自己破産」

借金をしたことがない人、債務整理のことを良く知らないという人でも、一度はどこかで聞いたことがあるのが自己破産

あまり良いイメージがない、という人も少なくありません。

そんな自己破産ですが、実際には借金でこれ以上ないくらい悩む人が「人生をやりなおすためのチャンス」だって知っていますか?

債務整理は、あなた自らが手続きをする、借金を整理するという強い意思をもって取り組まないと利用できない制度です。

リスクの多い現代社会、だれもが借金によって首が回らなくなってしまうかもしれない可能性をもっているのですから、万が一に備えて自己破産のことを学んでおいても損はありません。

ざっとで良いので、いまのうちに自己破産の基本知識を抑えましょう。

自己破産の基本を抑えよう!

自己破産とは、債務整理の方法のひとつです。

任意整理や民事再生と違うのは、利用するためのハードルがものすごく高いこと。

自己破産は、破産法という法律にもとづいて「どうやっても借金が返せない人が、裁判所に申し立てをして生活に不要な財産を手放すかわりに、借金をすべてチャラにしてもらう手続き(これを免責といいます)」です。

裁判所にいって「破産の申立書」を提出し、審査を受けて「この人の借金はチャラにして良いですよ」という免責を許可してもらえば自己破産は成立します。

ただ、お金を返さなくて良くなる、ということは当然お金を貸している側に大きく損をさせるわけです。

単純に免責するだけではフェアではないので、自己破産すると最低限生活に必要な家具や財産以外の高額な財産(宝石や何台もあるパソコン、持ち家など)は処分することになります。

取り上げられた財産は競売にかけられ、その売上をお金を貸した人たち(債権者)でわけることで、少しでも債権者側の損失を補てんするわけですね。

大きなお金や権利が動く手続きですから、免責してもらえるかどうかは申し立てをした人の資産状況、借金の額、収入などさまざまな面から行われる審査もすごく厳しいです。

自己破産はいわば、「借金で困っている人にとっての、最終手段」なのです。

自己破産をすると、人生が滅茶苦茶になってしまうって聞いたけど・・・

「自己破産をしたらおさきまっくらだ!」「自己破産するなんてまともな人間じゃない!」などなど、自己破産に対してとてもネガティブなイメージをもっている人は多いです。少なくとも、広く一般的に受け入れられる、とはなかなかいえません。

しかし、自己破産するのはけっして悪いことではないのです。

自己破産は、法律によって保証されている「借金で困っている人が、新しく人生をやりなおすための更正手段」です。

むしろ、借金でどうしようもなく、返済不可能になった人が自己破産の利用をためらった結果夜逃げや自殺、自暴自棄になっての犯罪をするほうが、よっぽど良くないのです。

借金に対して逃げの一手を打っても、永遠には逃げられません。

自己破産は借金や現実としっかり向き合い、人生をやりなおすチャンス。

こういった考えをもっていれば、いざというとき自己破産に頼る心の余裕がもてるのではないでしょうか。

自己破産のメリットとは

自己破産のメリットは、とにかく「借金がゼロになる(債務が免責される)」ことです。

返済しなくて良いからお給料の使いみちに余裕ができる、会社に連絡されるんじゃないか、借金の督促がいつくるんだとおびえなくても良くなる、といったメリットもありますが、それはあくまでも「借金がなくなるという大きなメリットに付随して出てくるもの」にすぎません。

数千万円の住宅ローンも、消費者金融からの多重債務も、不渡りを出して背負ったとほうもない会社の借金も、すべて一度ゼロにできる。それが、自己破産のメリットなのです。

自己破産によるデメリット

一方で、自己破産には多くのデメリットがあります。

箇条書きでぱぱっと紹介してみましょう。

  • 手続きが大変で厳しい審査がある
  • 生活に不要な財産はすべて手放さなければならない
  • 信用情報機関に記録が残るので、記録が消えるまで借金やローン、クレジットカードなどを利用できない
  • 資格制限といって、自己破産をした人は一定期間(半年くらい)一部の職業に就けなくなる(弁護士や保険の外交員、警備員など)
  • 実質的に、銀行や金融会社では雇ってもらえない
  • 官報に名前がのるので、自己破産をしたことは調べればだれにでもわかる
  • たちの悪い債権者からお金を借りていると、嫌がらせをうけるかもしれない

などです。

自己破産をすれば間違いなく債権者からは良く思われませんし、業種によっては職を失うこともあります。法的には制限されていなくても、とくに金融関係にお勤めだと就業規則で離職する可能性もあるのです。

ただ、一般的なサラリーマンなら仕事もそのまま、借金と必要最低限以外の財産をなくしてもまたいちから生活をやりなおせます。

どうしても借金が返せない。家族にも相談できない。

困ったときに相談できる相手がいるといないのでは大違いです。

心の底から困ったときは、一人で悩まず弁護士などに相談しましょう。