時効になるまでに確認しておきたい、「過払い金」の話

2014年、そして2015年になって、やたらとテレビやCMで露出している「過払い金」問題。

「過払い金なんて、自分には関係ない話だから良いや」なんて思っていませんか?

もし、あなたが過去にキャッシングを利用したことがあるなら。

いま現在も借金をしていて返済を行っているなら、ちょっとした手続きで「お金が手元にもどってくる」かもしれません。

過払い金は「あなた」にも関係がある

借金を利用するかどうか、というのはその人の好みや考えによっても大きな違いがあるものですが、キャッシングはいまや生活に密着した便利なサービスとして当たりまえの存在になっています。

例えば、「株式会社日本信用情報機構」の公表データによると、「借金をしていてまだ完済しきっていないので、信用情報に登録されている人の数」は1139万人となっています。

実際には完済していてここに含まれていない人もいますし、一人で何回もキャッシングする人がいますから、「お金がないときに、ちょっとキャッシングする」というのはかなり一般的なことだといえるわけですね。

過払い金について理解しておくメリットはたくさんあります。

過払い金がある人は手続きすればお金がもどってきますし、「どうして任意整理で利息の引きなおし計算をすると借金が減るんだろう」といった債務整理の基本知識もわかるようになるのです。

今回は、「過払い金って結局なんなの?」をいっしょに確認していきましょう。

過払い金って、一体なんなの?

「過払い金」とは、「あなたがこれまで、キャッシング会社に余分に支払っていたお金」のことです。

複雑な話になりますが、ちょこちょこと説明してみましょう。

キャッシング会社と金利の法律、グレーゾーン金利の話

キャッシング会社は、「利息制限法」という法律で「借金の額に応じて、金利は15%から20%までね」と決められています。

利息をとってもうけるキャッシング会社が制限なしに高金利にすれば、お金を借りるわたしたちは大変ですからね。

ですが、実際には利息制限法をやぶっても罰則がなく、また「金利は最大で29.2%までね」という「出資法」という法律があったので、多くの会社が「利息制限法ではダメだけど、出資法は破ってないよ」というグレーゾーンな金利、29.2%に近い金利でお金を貸していました。

利息が高くて審査もゆるい。

多重債務者をふくむ借金トラブルが社会問題になったことを受けて、2006年には「貸金業法」が大幅に改正され、貸金業に対するルールが厳しくなったのです。

法の徹底による過払い金問題と、解決法

最高裁の判決で「グレーゾーン金利はいかん!」という判決が出たこともあって、2006年をさかいにこれまた多くのキャッシング会社が金利を「利息制限法の上限である20%まで落とし」て営業を再開しました。

そうすると、2006年以前にお金を借りて返済していた人は、「本当は15%、20%で良かったはずなのに、29.2%計算で金利を支払っていた可能性が高い」わけですよね。

支払い過ぎた金利のぶん消費者が損をするのはおかしいので、「利息の計算をしなおして、そのぶん元金を減らしてほしい」「もう完済しているし、払い過ぎたぶんのお金を返してほしい」という請求、「過払い金返還請求」ができるようになりました。

ちなみに、「過払い金返還請求」の手続きは簡単だったので、つぎつぎ請求が行われた結果キャッシング会社がたくさん倒産しています。

過払い金返還請求は10年たつと請求できなくなる

「過払い金」には時効があります。「借金を完済してから10年以内」です。

例えば2005年の元旦にキャッシングをして、2006年の元旦に完済した人は、2016年の元旦になったらこの過払い金を返してほしい、という請求ができなくなってしまいます。

時効の考えは実際にはもっと複雑ですし、貸金業法が完全施行されるまでの2010年まで高金利でやっていた会社もあります。

ただ、2016年がわかりやすい請求期限の区切りなので、2014年、2015年はとくに過払い金の話題が多く出回っているのです。

過払い金が「任意整理」や「特定調停」で借金が安くなる理由だった!

これまでの記事で、債務整理の方法として「任意整理」や「特定調停」を紹介しています。

じつは、「債務整理をすると借金が減る」のは、「あなたに過払い金があるから」なのです。

過払い金がある人が、利息制限法の金利で利息の引きなおし計算をすると、「不必要だった過剰な利息ぶんは、元金の支払いにあてよう」と考えることができるので、「借金が減る」ことになります。

過払い金なんてあんまり関係ない、と思っていても、こんなふうに意外なところで債務整理と過払い金は関係しているわけですね。

なんだか面白いと思いませんか?

過払い金問題は、とにかく時効になったらおしまいです。

「自分には関係ない」と思わずに、忘れている借金がないか、過払い金がないか一度あなた自身の「キャッシング履歴」を確認してみてはいかがでしょうか。