テレビでよくみる「グレーゾーン金利」について深く知ろう!

過払い金、債務整理、消費者金融、サラ金。そしてグレーゾーン金利。

借金に関する用語はたくさんあって、どれもぱっとみるとすごく難しそうですよね。

ですが、実際のところひとつひとつ確認していけば案外意味は簡単で、それぞれの単語の関わりも深いので、知れば知るほど「債務整理博士」へと近づいていくことができます。

人間、自分がわからないことは他人に説明したり、自分で使いこなしたりすることができません。

債務整理をするために絶対必要、というわけではないのですが、今回は「過払い金を生みだした、グレーゾーン金利の話」を紹介いたします。

いまさらまわりの人には聞けないけれど、金利っていったいなんなのか。

グレーゾーン金利ってよくきくけど、実際金利は何%だったの? といったポイントをあらためておさえておけば、きっとあなたの金融知識はもっと豊かになりますよ!

「金利」のおさらいをしよう

基本的なことを意外とわからないままにしている人、じつは少なくありません。

たとえば、料理はできるけど「小口切り」「乱切り」がどういう切り方なのかがわからない。「漢字は読めるけど、へんやつくりまではちょっと・・・」といったことですね。

金融、借金、債務整理について考えるときの基本キーワードもたくさんあるのですが、今回は「グレーゾーン金利」についてのお話ですから、「そもそも金利ってなに?」からはじめましょう。

金利というのは、「貸金業者のもうけ」です。

業者だって、うまみがないと他人にお金を貸しません。「元金に対して、一定の利息=金利を上乗せして返済してもらう」ことでもうけを出すのです。

通常、金利の表示は「1年間で何%の利息がつくのか」で表示してあります。

キャッシングやローンなどで「金利18%!」なんて書いてある場合、基本的に「年利」です。

「金利20%」で10万円借りて1年たつと、「10万円×20%=2万円」の利息が返済必要額に上乗せされるわけです。

法律が改正されるまで、日本では「グレーゾーン金利」がまかりとおっていた!

そんな金利ですが、貸金業法や出資法が改正されるまで、日本の貸金業の金利を制限する法律には「とある穴」がありました。

「利息制限法で許す利息は20%までよ」

「出資制限法で許す利息は29.2%までよ」

といったふうに「法律で許可されている金利の上限」に差があったのです。

出資法を破れば逮捕や罰金刑に処されるのですが、利息制限法を破っても処罰はありません。

そこで貸金業者は、「利息制限法以上、出資法以下」の金利でお金を貸していました。

利息制限法は破っているのでまっくろ、ただ、処罰のある出資法は守っているのでまっしろ。

確かに悪いことだけど、罰する方法がないので「グレーゾーン金利」なんて呼ばれていたわけです。

グレーゾーン金利はどうして許されていたの?

グレーゾーン金利や過払い金についての話を聞いていて、「いやいや、利息制限法を破って商売をしてもいいの? 違法でしょ?」と思う人もいますよね。

じつは、法改正されるまで、グレーゾーン金利がまかりとおってしまう「みなし弁済」という規定が出資法にふくまれていました。

伝家の宝刀「みなし弁済」

「過払い金を取り戻せる理由」でふれていますが、出資法の上限金利は何度かにわけてさがっています。

出資法は罰則のある法律なので、できるだけ高い利息をとりたい貸金業者は上限をさげられると困るわけですね。

1983年に出資法の上限金利がひきさげられたとき、貸金業者が声をあげたことを受けて、出資法に「みなし弁済」という制度が盛り込まれました。

これは、「利息制限法以上の金利をとると契約が無効になるけど、本人が納得して利息制限法以上の金利で返済してるなら、違法にはならないよ」というルールです。

みなし弁済制度があったからこそ、貸金業者は大手をふって「利息制限法以上のグレーゾーン金利」で商売ができていたわけです。

みなし弁済を認めない、という最高裁の判例がでた!

そんななか、2006年(平成18年)の1月13日、最高裁判所第二小法廷で「みなし弁済だからと高い金利をとるのはダメ!」という判決がでました。

「本人が納得していれば利息制限法の上限をこえていても良いといったって、実質的に高い金利でしか借りられないんだから、そんなのは納得や任意とはいえない」という主張です。

多くの貸金業者は、みなし弁済をたてにグレーゾーン金利を押しとおせなくなったので、法改正よりまえに、自主的に「利息制限法をまもった金利」にひきさげました。

ついに法改正でグレーゾーン金利が禁止に!

貸金業法や出資法、利息制限法は改正され、2010年の改正貸金業法の完全施行から「グレーゾーン金利もみなし弁済もすべて禁止」されました。

「利息制限法の上限金利=出資法の上限金利」になったので、法律の違いによる金利の差もありません。

ヤミ金以外は「法を遵守した利息」で貸金業を営むようになり、ついに「グレーゾーン金利が生まれない世の中」になりました。

グレーゾーン金利にも歴史あり、なのです。