事前にチェック!「任意整理」ってどういうふうに進んでいくの?

債務整理のなかでも、「任意整理」は債権者と個人的に交渉をして借金の減額をはかる方法です。

デメリットもある自己破産に比べてお手軽に利用できること、そして取りたてをすぐにやめてもらうことができることから、人気のある手続きです。

今回は、より具体的に任意整理の利用を考えるために、「任意整理をはじめてから終えるまで」のフローをいっしょに確認していきましょう。

任意整理のおさらいをしよう!

「債務者との交渉で借金を減らせる?任意整理のメリット・デメリットについて」を見ていただいてもいいのですが、かるく任意整理のおさらいをしておきます。

任意整理とは、債権者と交渉しながら「出資法と利息制限法の差からうまれた過払い金を差し引きして、残った適切な借金額だけを返済していく」ための計画をたてる債務整理です。

将来利息のカットや分割返済なども交渉できるので、うまくいけば借金が減るだけでなく返済も楽になる、というメリットをもっています。

任意整理は個人でも手続き可能ですが、「弁護士」「司法書士」に依頼をして任せることもできます。ここでは、おもに「弁護士に相談した場合」のフローを見てみましょう。

全体の流れは、以下のように6つにわけて説明していきます。

①まずは弁護士・司法書士に相談するところから!

②債権者に受任通知を送って、これまでの取引履歴の開示請求をする

③取引履歴が手に入ったら、利息の引きなおし計算をする

④依頼人の返済能力に応じて、返済計画をたてる

⑤つくった返済計画をもとに、債権者と交渉開始!

⑥交渉がうまくいけば、返済の開始!コツコツお金を返していこう

①まずは弁護士・司法書士に相談するところから!

なんといっても、まずは弁護士を探して相談に行かなければなりません。

法テラスなどを利用すれば、だいたい30分で5000円と設定されている相談料もかからないのでお得です。

だらだらと長時間相談しているとお金がたくさんかかるので、借金の経緯や現状を紙にまとめておくのがおすすめです。

話し方や対応、示してもらったプランや料金などを見て、あなたが「この人に任せよう!」と思える弁護士を見つけましょう。

②債権者に受任通知を送って、これまでの取引履歴の開示請求をする

正式に弁護士に任意整理の依頼をすると、依頼を受けた弁護士はまず債権者に対して「受任通知」というものを送ります。

これは、「弁護士が依頼人の代理人になりましたよ」という事実を知らせるための連絡です。

同時に、これまでいついくら借りていくら返してきたのか、という記録である「取引履歴の開示請求」も行います。

ちなみに、任意整理以外の自己破産や民事再生手続きをするときも同様の通知を行います。

受任通知が届いた時点で、貸金業法のルールで債権者は依頼人である本人に直接取りたてをしたり督促したりすることを禁じられます。

受任通知を受け取った債権者は、ほとんどがすぐに取りたてをやめてくれるので、これであなたもほっと一息です。

③取引履歴が手に入ったら、利息の引きなおし計算をする

債権者から取引履歴を送ってもらったら、弁護士や司法書士は「現行法の上限利率で、過去高すぎる利息を取っていなかったか」を計算します。

これを利息の引きなおし計算といって、「返済を過払いしていた」場合は、「いまの法律で考えて、適切な返済額がいくらか」を改めてはっきりさせるのです。

④依頼人の返済能力に応じて、返済計画をたてる

利息の引きなおし計算で適正な返済額がわかったら、つぎはあなたの返済能力を考えて、「残っている借金を、無理なく返済できる計画」をつくります。

生活費や多少の交遊費を抜いて、すこしゆとりのある計算で返済期間を決めますが、だいたい3年からながくても5年以内に完済できるように調整します。

5年以上返済しても完済できない場合、任意整理ではなくべつの債務整理を勧められることも。

⑤つくった返済計画をもとに、債権者と交渉開始!

司法書士だとできませんが、弁護士なら返済計画をもとにして、あなたのかわりに債権者と交渉することができます。

「返済能力はこのくらいで、実際法律に照らし合わせたら適正な返済額はこれくらいだった。これ以上の返済は無理だから、なんとかこれで合意してくれないか」といったことを話しあうわけです。

⑥交渉がうまくいけば、返済の開始!コツコツお金を返していこう

返済計画が妥当なものだと債権者が納得してくれたら、和解。これで手続きは完了です。

きちんとした書類をつくって返済を約束し、すこしずつ借金の残りを返していくことになります。

①から⑥まで進むのにかかる時間は、人によって違いはありますがおおよそ3ヶ月から半年ほど見ておくといいでしょう。

ただ、債権者が受任通知を受けても取りたてをやめない、なかなか取引履歴をだしてこない、返済計画に合意しない、などなどのトラブルがあれば解決までの時間はそのつどのびてしまいます。

基本的に弁護士や司法書士に依頼をしたほうが交渉はスムーズに進むので、自力でやるよりプロに頼んで気楽に交渉していくのがおすすめです。