債務整理のひとつ、「特定調停」はどういうふうに進んでいくの?
「特定調停」ってどういうふうに手続きすればいいか、あなたは知っていますか?
債務整理のなかでも、自己破産のように財産を手放さなくていいし、任意整理と違って裁判所に仲介してもらえるからなんとなく怖くないし、とひそかに人気を集めているのが「特定調停」という手続きです。
やることは任意整理と良く似ていて、「債権者と話しあって、借金返済ができる現実的な金額までなんとか借金を減らしてもらったり、分割払いを取りつけたり」します。
ただ、「簡易裁判所の調停委員にあいだに入ってもらって交渉をする」「特定調停でつくった返済計画は、法的に効力のあるものなので、あとから話をひっくり返される心配がない」といった違いをもっています。
そんな特定調停ですが、手続きの性質上、ほとんどの手続きを「あなたが自分で」行わなければなりません。
実際に話し合いや交渉をするのはあなたと債権者のあいだにたつ裁判所の調停委員なので、弁護士が代理人としてできることがあまりないからです。
なので、特定調停をするならまず最初に「どういうふうに手続を進めればいいか」を調べなければなりません。
今回は、特定調停のおおまかな流れを、
- 簡易裁判所にいって「特定調停」の申し立てをする
- 簡易裁判所から債権者に連絡がいき、取引履歴の開示が行われる
- 調停準備期日をまって、返済計画などを具体的につめていく
- 調停期日になったら、調停委員が債権者と話しあう
- 調停の内容で合意が取れたら調停成立!
- 返済計画に従って、借金の返済をはじめる
という6つの段階にわけて説明していきます。
①簡易裁判所にいって「特定調停」の申し立てをする
特定調停は、簡易裁判所にいって申し立てをするところからはじまります。
申し立てをするのは、「債権者の本店や支店がある場所を管轄している簡易裁判所」です。
あなたが住んでいるところの最寄りとは限りません。
ちなみに、特定調停を申し立てる債権者が複数いる場合は「債権者がいる地域を管轄している簡易裁判所で、行きやすいところ」ならどこでもかまいません。
必要書類は、裁判所にいけば置いてある「申立書」と、「借金がいくらあって、どうして借金が返せないのかを証明できる書類(収入の証明、普段使っている口座の明細、借金の契約書や明細、納税通知など)」です。
あなたの印鑑や、裁判所から相手や自分の書類を送ってもらうための印紙代、切手代も必要です。
②簡易裁判所から債権者に連絡がいき、取引履歴の開示が行われる
正式に申し立てを受けた簡易裁判所は、債権者に連絡をして取引履歴を開示してもらいます。
取引履歴と、あなたから提出された「借金が返せないということを証明する書類」を見比べて、現実的な返済プランをざっくり考えていくわけです。
なかには裁判所からの通達を取り合わない非協力的な債権者もいますが、ここでは置いておきましょう。
③調停準備期日をまって、返済計画などを具体的につめていく
あなたと債権者、両者の意見(書類)がでそろったら、調停委員があなたのいいぶんを聞いてジャッジをくだすために、「意見をまとめておいてくださいね」という準備時間をもうけます。
具体的には、簡易裁判所にあなたが呼び出されて、「特定調停をすれば返済可能なのか」「いま、本当に返済不可能なのか」「いくらなら返済していけるのか」といったことを質問されるのです。
返済期間は基本的に3年、長くても5年なので、期間内に完済できない場合は手続きが終了することも。
④調停期日になったら、調停委員が債権者と話しあう
調停準備期日を終えて、調停期日になったら簡易裁判所の調停委員が債権者を個別に呼びだし、話をしていきます。
あなたが直接債権者と直接話すことはありません。
調停委員が債権者に、「申し立てをしている人の収入や家計の状況はこんな感じで、毎月これくらいなら返せそうですよ。利息の引きなおし計算をしたら実際借金はこのくらいの金額になりますし、どうしますか?」といった交渉を代理でしてくれるわけです。
⑤調停の内容で合意が取れたら調停成立!
あなたの希望返済額や返済プラン、調停委員との話し合いを通じて、債権者が「その返済プランでオッケー!」と合意したら、はれて調停成立です。
返済計画をきちんとした書面にして、お互いに内容を確認して特定調停の手続きはおしまい。
ちなみに、特定調停でつくる書類(調停調書といいます)は後日裁判所から送られてきます。
効力は普通に裁判をしてくだされた「判決」とおなじなので、あなたも債権者も調停調書の内容をないがしろにすることはできません。
⑥返済計画に従って、借金の返済をはじめる
特定調停で合意して、具体的な返済計画が決まったらあなたは残った借金を毎月返済していくことになります。
完済しきったら、完全に借金とは決別です。
「特定調停」は、こういった流れで進みます。
基本的にあなたが自分で書類を用意し、簡易裁判所に何度か足を運んで手続きをしなければなりませんが、債権者と直接やりあうことはないので安心です。