自己破産で差し押さえられる、一定上の高額な資産・・・って結局なに!?

「自己破産をすると、高額な資産は差し押さえられる!」

のが自己破産の特徴のひとつであり、デメリットです。

あなたが自己破産の申し立てをした場合、一定額以上の資産をもっていると「破産管財人」が裁判所によって任命され、破産管財人の手によって財産が換価(ようするに現金化)されて債権者に分配される。

自己破産の手続きは、このようなながれで行われます。

ただ、高額な資産って具体的にどういうものを指すのでしょうか。

今回は、

「20万円以上の高級家電ならどうなるの?」

「仕事に使っている高価な道具は?」

「車、どうなるんだろう・・・」

といった疑問を解消していきます。

「破産手続き上の資産」とは

自己破産において、差し押さえされてしまう資産のことを「破産手続き上の資産」と呼びます。

破産管財人は、「破産手続き上の資産だけ」を現金化して債権者に配分するのです。

いくら差し押さえをするといっても、家じゅうひっかきまわして着ている服からボールペンまでもっていく、なんてことはありません。

基本的には「20万円以上の価値があるもの」が破産手続き上の資産としてあつかわれますが、実際にはいろいろな決まりごとが存在するのです。

というわけで、「差し押さえされない資産」を確認してみましょう。

家財道具、家具、日用品などの「自由財産」は差し押さえされない!

原則として、あなたの資産はすべて差し押さえることができるようになっています。

ただ、「生活するのに必要なものまで差し押さえたら、経済的にたちなおるのは難しい」ですよね。

そこで、最低限生活に必要なものをまとめた「自由財産」は差し押さえないようにしよう、と法律で決められています。

具体的には、たんすやベッド、冷蔵庫や家具、家電、食べもの、日用品、仕事の道具、年金などなどです。

ただ、日用品でも複数あったり、生活に不必要なくらい高級なものだったりした場合、差し押さえの対象になる場合も。

ちなみに、差し押さえをしたあとに手に入る資産(来月のお給料など)も基本的に差し押さえられません。

よりくわしい品目が知りたい人は、破産法の第34条における「自由財産」「自由財産の拡張」や民事執行法の第131条にある「差押禁止財産」などをチェックしてみましょう。

自由財産の拡張って?

自由財産として差し押さえされない物品は、法律で種類が決まっています。

ただ、現金に預金、定期預金、自動車などなど、「生活するために最低限必要なもの」は人それぞれ違いますよね。

そこで、個別のケースにも柔軟に対応できるように、裁判所がみとめれば「自由財産として差し押さえの対象外にしていいよ」としているのが「自由財産の拡張」です。

例えば、見積もりの結果30万円の価値がある自動車は差し押さえの対象ですが、自由財産の拡張が認められれば差し押さえされずにすむこともある、ということです。

具体的に見てみよう!「これって破産手続き上の資産なの?」

保険の解約金は?

保険を解約すると、お金が払いもどされますよね。

このとき、「保険を解約してもどってくるお金の総額」が20万円をこえたら、「破産手続き上の資産」として差し押さえられます。

総額で20万円以下なら、差し押さえの対象外です。

現金ってどうなの?

99万円以下の現金は、差し押さえされません。

ちなみに、自由財産における「現金」とは「お札や硬貨」のことを指していて、預金や「売れば現金になるもの」はふくまないので要注意。

銀行口座のお金も、20万円をこえると差し押さえです。ただ、裁判所によっては運用に違いもあります。

自動車は?

登録してから普通車で6年、軽自動車で4年たっていれば車の価値は20万円以下になっていることが多いので、差し押さえされません。

ただ、見積もりして20万円以上の価値があれば、差し押さえです。

不動産は?

不動産はちょっと大変です。

ローンの残額と不動産の評価額(いくらか)をくらべて、

  • ローンが評価額の1.5倍未満なら差し押さえ
  • ローンが評価額の1.5倍以上なら対象外

となります。

ローンが1.5倍以上だと、売ってもあまり利益がでないので資産としてはカウントしないわけです。

ただし、この場合は「オーバーローンの上申書」という書類を裁判所に提出する必要があります。

会社を辞めたときの退職金は?

退職金をすでにもらっている場合、手元に現金99万円以上、預金でも20万円以上あれば差し押さえです。

まだ退職金をもらっていない場合は、「もらえるであろう退職金額の8ぶんの1」が20万円をこえていたら、差し押さえの対象となります。

敷金は?

じつは、賃貸の部屋をでるときにもどってくる敷金は、厳密には差し押さえの対象です。

ただ、敷金を差し押さえるということは住む部屋がなくなるということなので、特別に「自由財産の拡張」にふくめて考え、金額が20万円以上でも差し押さえされないようになっています。

さあ、あなたの家にはどんな資産が眠っていますか?

大掃除をかねて、時間があるときに一覧をつくってみてはいかがでしょう。