となりの人に説明できる?任意整理をすると借金がへる理由

任意整理にしても、自己破産にしても、債務整理の手続きをすると「あなたの借金がへる」ことになります。

現在進行形で借金問題に頭を悩ませている人、取りたてに苦しんでいる人からすれば、借金がへらせるというのはとても大きな魅力ですよね。

ただ、任意整理は絶対に成功する手続きではありません。

「うまくいって借金がへるのも、失敗してしまうのもあなた次第」なのです。

失敗をふせぐためには、最低限の知識が必要です。

任意整理の専門家になる必要はありませんが、重要な部分だけでもおさえて、任意整理に失敗しないようにそなえましょう。

弁護士に依頼するときも、自分で手続きをするときも、基本的な知識があるだけでより多くの選択肢を選ぶことができます。

今回は、「どうして任意整理をしたら借金がへるのか」という、多くの人が知っていそうでじつは知らない、借金減額の仕組みを説明します。

利息の差額は過払い金!?借金がへるのは、過払い金を差し引くからだった!

じつは、「任意整理をすると借金がへる」という表現は正確ではありません。

なんとなく、「弁護士に頼めば100万円あった借金が20万円へって、80万円になる」といったシンプルな仕組みをイメージしがちですが、実際には、

○最初に200万円借りていて、これまでに元金を100万円、利息を40万円返済していた

○調べてみたら、返済ずみの利息40万円のうち、20万円は本来返済する必要のない過払い金だった

○本当は返さなくて良かった20万円は、元金の返済にあてていた、ということにしよう

○過払い金20万円を元金の返済にあてたら、結果として借金の残りは80万円になった

というふうに、とても面倒な手続きを踏んでいるのです。

ポイントは「過払い金があるかどうか」と「いくら過払いしていたのか」です。

人によっては調べてみても過払い金がなく、借金は100万円のままだった、なんてこともあります。

過払い金や過払い金がうまれる理由について知らないと、「どうして!?」と思ってしまうでしょう。

疑問を、追求するために、弁護士費用や時間をムダにしてしまうかもしれません。

ムダを避けるためにも、ざっくりとした借金減額の仕組みを知っておく必要があるわけですね。

そんな過払い金は、出資法と利息制限法というふたつの法律が原因でうまれました。

刑事罰のある「出資法」と、刑事罰のない「利息制限法」に原因がある

「過払い金」がうまれたのは、2種類の法律がそれぞれ違うルールで「利息の上限」について定めていたからです。

ちょっと確認してみましょう。

  • 出資法の上限金利=29・2%

出資法は破ると逮捕や罰金といった刑事罰があるので、サラ金や消費者金融が絶対に守らなければならない法律です。

そんな出資法では、「最高29.2%まで利息をとっていいよ」と決めていました。

  • 利息制限法の上限金利=20%

一方、お金を借りる人の権利を守るためにつくられた利息制限法には、刑事罰がありません。

「20%以上の高金利は消費者に不公平だから契約は無効だよ!」と利息について定めていましたが、出資法と違ってサラ金や消費者金融は「利息制限法は違反して罰則がないし、破ってもいいや」と考えるようになるわけです。

スポーツの世界でよくある、「ファウルをしてはいけないけど、審判にバレないなら違反じゃなくてテクニック」というような、グレーな行為がはじまります。

結果、サラ金や消費者金融は本当なら利息を20%以下にしなければならないのに、20%以上29.2%以下という「違法だけど罰則はない利息」にしてお金を貸し、利息をたくさんとっていました。

この「違法だけど罰則はない利息」で返済してしまったお金が、過払い金です。

法改正で「新たな過払い金」はうまれなくなった

借金問題が大きくなりすぎたこともあって、利息の上限は20%、それ以上の利息を取った貸金業者には厳しい罰を与えます、というふうに法改正が行われました。

2010年に改正法は完全施行され、もう新しく過払い金がうまれることはありません。

ただ、法改正が行われるまでに借金をして、その借金の返済で苦しんでいる人は「過払い金は支払ったまま」なわけですよね。

サラ金や消費者金融は、わざわざ過払い金があることをあなたに教えてくれません。

自分で任意整理をして「過払い金が20万円あったから、あと20万円の返済でいいはずでしょ!」と交渉をすることで、「借金がへる」のです。

もし、任意整理をしても「過払い金」がなかったらどうなるの?

任意整理をして借金がへるのは、過払い金があるからですが、過払い金がない人にもメリットはあります。

任意整理では、適切な利息で借金を計算しなおして借金を減らすほか、「これからさきの利息をカットしてもらう」「これまでの遅延損害金をチャラにしてもらう」といった交渉も行うからです。

利息や遅延損害金がなくなれば、返済総額はかなり圧縮できますよね。

分割返済が認められれば返済そのものだって楽になります。

借金がへる仕組みを把握して、効率よく債務整理を進めましょう。