取引履歴の取り寄せが、債務整理の第一歩!

過払い金の計算をするためには、「債権者に対する、取引履歴の請求」が必須です。

取引履歴というのは、あなたがいつ、いくら借りて、いついくら返済してきたのか、という借金と返済の情報をまとめた書類のこと。

あなたへの貸付やあなたからの返済は企業にとっての会計情報なので、書類をまとめた帳簿を10年は保存しておかなければなりません。

あなたの手元に明細がなくても、債権者のところにはデータが残っているので、債権者に取引履歴を請求をするわけです。

ただ、取引履歴が不完全で、きちんとしたデータが揃わないというケースもありえます。

そんなときは、どうやって対処したらいいのでしょうか。

取引履歴がもらえない!?紛失した!?非協力的な業者も少なくない

最高裁で「請求されたら債権者は取引履歴を開示するように」という判決が出ていることもあって、ほとんどの場合請求すれば取引履歴はすぐ開示してもらえます。

ただ、過払い金返還請求は、債権者からするとものすごくいやな手続きです。

なんといっても請求されたら過払い金をあなたに払わなければなりませんし、過払い金にも消滅時効があるので、「協力せずになんとかできないか」なんてふうに考えるわけです。

その結果、「社内の規定があって」「10年よりまえの書類は破棄しちゃって」といって短期間のみの取引履歴を開示したり、穴のある取引履歴を開示したりするのです。

この場合に使えるのが、「データをくれないなら、勝手に推計してしまえ!作戦」です。

業者が非協力的な場合に使える、過払い金の計算方法ふたつ

過払い金の請求は正当なものです。

債権者が取引履歴を出さないせいで正当な手続きが邪魔されているわけですから、「ある程度推測して請求してしまう」という強引な手段を取ることができます。

過払い金の推計をする方法はおおまかにふたつ、「推定計算」と「残高ゼロ計算」です。

①手元に証拠があるなら「推定計算」

返済するときに使った銀行の明細などがある場合、手元の証拠とあなた自身の記憶をもとに、「不完全な取引履歴の穴埋め」をして過払い金を計算できます。

②証拠がなく、古い借金には「残高ゼロ計算」

使えそうな証拠がない、10年以上まえの借金で取引履歴がもうないといわれてしまった場合は、「残高ゼロ計算」を行いましょう。

過払い金が法的に禁止されたのは、2010年の貸金業法完全施行から。

それ以前の借金なら、過払い金が発生している可能性が高いです。

いまもまだ返済しているなら、返済期間や返済総額だってかなりのものになっていますよね。

「高い利息で長く返済していれば、過払い金が多すぎて元金なんてとっくに返済しきっている」ことが多いので、「どうせ完済しているんだから、いまの借金の残高をゼロだと思って過払い金を計算しよう」と考えることができるのです。

覚えている返済の記録や手に入れた取引履歴を使って、残高を無視して過払い金だけを計算していきます。

最終的には裁判で!「過払い金返還請求」の訴訟を起こしてみよう

推定計算や残高ゼロ計算は、もちろん推定なので正確に過払い金の額がわかるわけではありません。

ですが、推測しておおよその過払い金額を出しておけば、結果をもとに「まず間違いなく過払い金があるから、過払い金を返してほしい」「ちゃんとした取引履歴を開示してほしい」といった交渉や訴訟がしやすくなります。

示談や裁判で重要なのは、説得力のある証拠ですからね。

行政からの指導や弁護士からの開示請求ものらりくらりとかわす相手には、裁判で決着をつけることも考えましょう。

裁判すれば、銀行口座の明細を開示してもらえる!

借金の返済にあなたが銀行振り込みを利用していた場合、銀行に明細が残っています。

ただ、普通に請求すると銀行は10年ぶんの明細しか見せてくれません。

10年以上まえの明細を見せてもらうためには、裁判をして裁判所から連絡してもらわなければならないのです。

この手続きを「調査嘱託」といいます。

「文書提出命令」を狙って訴訟を起こしても、大きな見返りは見込めない

おなじく、裁判をすると「事実関係を明らかにするために、ちゃんとした取引履歴を開示しなさい」という命令を裁判所が出すこともあります。

ですが、「文書提出命令」はちょっと効果がうすいので、あえて命令を出してもらうよう動くメリットは少ないです。

裁判所からの命令でも業者が対応しないケースもありますし、裁判で「相手が文書提出命令に応じないんだから、こっちのいいぶんを全面的に受けいれて欲しい!」といってもなかなか取り合ってくれないからです。

取引履歴が不完全だったときは、粘り強く対応しよう!

基本的に、取引履歴が不完全だった場合じっくり対応する気持ちが必要です。

実際にはあまり時間がかからずに終わるとしても、「面倒だなあ、いつ終わるのかなあ」と取り組むより、「しっかり対応してやるぞ!」と思っているほうが、示談も裁判もスムーズに進みます。

交渉の方法はいろいろあるので、取引履歴が不完全でも、あきらめずに過払い金をしっかり取り戻しましょう。