個人再生をするなら知っておくべき、メリット・デメリットの話
どんな制度にだって、良し悪しというものがあります。
メリットやデメリットを知らずに手続きをはじめて、「しまった!」と後悔することのないように、個人再生を利用するまえにしっかりとメリットとデメリットを確認しておきませんか?
「借金を大幅に圧縮できる「個人再生手続き」とは?」を見ていただければわかりますが、個人再生はとても複雑で難しい手続きです。
そんな手続きだからこそ、いまのうちに準備しておくことが大切なのです。
今回は、個人再生手続きのメリットを4つ、デメリットを5つ紹介していきます。
個人再生手続きのメリット4つ
早速、個人再生のメリットを確認していきましょう。
①あなたの借金が5ぶんの1に!?
個人再生であなたが返済すべき借金の額は、基本的に「法律で定めた最低弁済額」になります。
あなたの借金の額によってどのくらい減額されるのかはかわってくるのですが、例えば100万円以上500万円以下の借金をしている人は、個人再生をすると「100万円を返済すればいい!」ということになるのです。
500万円の借金が100万円になるわけですから、「利息の引きなおし計算」をするだけの任意整理より大幅に借金をへらせますよね。
ただし、実際にいくら支払うことになるのか、というのもまたこまかいルールがあるので要注意です。
②どんな職業の人でも手続きできる!
自己破産では「資格制限」といって、手続きをしている一定の期間、特定の職業の人は仕事ができませんよ、という制限があります。
くわしいことは「破産手続き上の職業制限とは」で説明しています。
そのため職業によっては自己破産できない人もいるわけです。
ですが、個人再生手続きに資格制限がないので、どんな職業の人でも自由に利用できます。
③なんのためにした借金でも関係ない!
職業制限とおなじく、自己破産には「借金の理由によっては自己破産できませんよ」という免責の不許可事由が定められています。
ようするに、ギャンブルや浪費のために借金をしている人は自己破産をすることができません。
その点、個人再生では「借金の理由」が手続きの可否に影響することはありません。
ただ、あまりにもハチャメチャな借金生活を送っている人は、裁判所の判断で支払額が上乗せされる場合もあります。
④マイホームやマイカーを手放さなくていい!
個人再生手続きでは、住宅ローンは特別あつかいです。
住宅ローンだけ別途返済していれば、自宅を取りあげられることはありません。
それに、自己破産だと車や持ち家などの高額な資産を差し押さえられますが、個人再生ならこういった財産も自分の手元に置いておけます。
個人再生手続きのデメリット5つ
つづいて、個人再生のデメリットを紹介しましょう。
①とにかく手続きが面倒くさい!
個人再生は、「あなたがどうしても借金を返せない」から利用できる制度です。
債権者の事情に関係なく、あなたの都合だけで利用できるという手続きの性質上、審査がずさんだと債権者が一方的に不利ですよね。
厳しく審査するために、手続きが複雑で面倒なものになっています。
②かなりお金がかかる
個人再生をするにはお金がかかります。
裁判所に払う費用も安くはありませんが、手続きがおわるまで半年くらいかかるので、弁護士費用もかなりのもの。
個人再生委員が選出された場合は、15万円から25万円くらいの費用も必要です。
③手続きすると官報にのり、金融ブラックにもなってしまう!
個人再生をすると、あなたの名前や住所が官報にのります。
また、信用情報機関にも事故情報が登録されるので、いわゆるブラックリスト入りしてしまいます。
個人再生をしたあとは、基本的にローンを組んだりお金を借りたりできません。
④ローン返済中の車は取りあげられてしまう
車検証の所有者欄、どうなっていますか?
ローンで購入した車は、所有者=持ち主が「ローン会社や車を購入したのディーラー」になっていて、「あなたはいち使用者」として登録されています。つまり、ローンを完済するまであなたの車はローン会社などのもちものなのです。
所有者が販売会社の場合は拒否できますが、ローン会社が所有者ならほとんどの場合車は引きあげられてしまいます。
⑤連帯保証人に借金を押しつけることになる!
連帯保証人がついている借金はありませんか?
個人再生手続きをはじめると、債権者は連帯保証人に対して「当初の契約通り、借り主が借金を返さないから保証人としてあなたが返してくれ!」と請求します。
個人再生手続きをして借金の額が大幅にへっても、連帯保証人の義務がなくなるわけではないので、「あなたと連帯保証人で借金を返していく」ことになるのです。
当然、連帯保証人には大きな迷惑がかかってしまいます。
場合によっては人間関係に影響がでてしまうかもしれません。
個人再生はメリットもデメリットも大きな手続きです。
手続きをしたあとの生活のことまで考えて、気軽に取り組むのではなくよく吟味してから利用するかどうかを決めましょう。