住宅ローンの返済期間を10年のばせるって本当!?

「住宅ローンの返済期限を、最大10年のばすことができる」

なんて話、聞いたことはありませんか?

債務整理のなかでも、住宅ローンだけを残して、それ以外の借金を整理できるのが個人再生のつよみです。

ただ住宅ローンは高額な借り入れとなるので、月々の返済額はどうしても高くなりがち。

30年や35年という長いスパンでローンを組むため、住宅ローンの返済を滞納してしまった! という人もいるわけです。

個人再生は住宅ローンを保護するための手続きですが、もしあなたが住宅ローンを滞納していたらどうなってしまうのでしょうか。

住宅ローン特則を利用できない? そんなことはありません。

じつは、住宅ローン特則には返済プランに関しての特別ルールがあって、返済が厳しければ厳しいほどよりやさしい返済プランを利用できるようになっているのです。

住宅ローン特則は、返済が厳しい人のために特別ルールを用意していた!

住宅ローン特則では、ぜんぶで5種類の返済プランが用意されています。

  • 通常タイプ
  • 期限の利益回復タイプ
  • 弁済期間延長タイプ(リスケジュールタイプ)
  • 元本一部据置タイプ

の4種類と、「住宅ローンの債権者と話し合って、同意がとれたらどんな返済方法でもいいよ」というものをあわせて5種類です。

話し合いをするタイプはちょっと使いづらいので、ここでは置いておきましょう。

通常タイプの返済プランって?

通常の住宅ローン特則では、「住宅ローンも個人再生後の借金の弁済も、両方そのまま」行います。

住宅ローンに関しては、基本的に滞納がないこと、滞納があったとしても債権者がかわるまでに手続きをしていること(「住宅資金貸付債権に関する特則利用に必要な条件」でふれています)、延滞金を払うことが条件です。

ただ、どうしても住宅ローンと弁済を同時にすることができず、実際に住宅ローンを滞納している場合、つぎの返済プランを利用できます。

住宅ローンの滞納ぶんを、3年の分割払いにすることができる!

再生手続の認可までに発生した、住宅ローンの未払い利息などの延滞金。

これを、「個人再生手続きの再生計画にふくめて、3年かけて分割払い」することができるのが、「期限の利益回復タイプ」の返済プランです。

通常、ある程度住宅ローンを延滞すると「返済しないなら一括で返せ!」と債権者がいってきます。

これが、「期限の利益を喪失した」状態です。

こうなると一括弁済するしかなくなってしまうのですが、住宅ローン特則を利用して期限の利益回復タイプの返済プランを実行した場合、「住宅ローンはふたたび分割でいいし、いま現在たまっている利息は今後3年にわけて返済していい」ようになります。

通常どおりの住宅ローン、個人再生による弁済額、そして滞納していたお金、と3種類の返済を3年間することになるので支払いは大変ですが、「本来延滞したことで一括で請求されるものを、分割で払えるようになる」というメリットは大きいです。

返済が厳しい人は、条件つきで返済期間を最大10年のばせる!

利息を分割払いしても、それでも無理! 返済できない! そういう場合は、「住宅ローンの返済期限を最大10年まで延長」することができます。これが、リスケジュールタイプの返済プランです。

ただ、10年延長できるといっても条件があって、「70歳までに完済する」のが前提になっています。

例えば30歳で30年の住宅ローンを組んでいる場合、完済時期は60歳のときですよね。

この場合は返済期間を10年のばして、70歳までに完済する、というプランを利用できます。

ただ、36歳で30年の住宅ローンを組んでいると、完済時期は66歳。

70歳までしか延長できないので、最大でプラス4年の延長になる、ということです。

どうしても住宅ローンが払えない人は、利息の返済だけで猶予してもらえる!

延滞金を3年かけて分割しても、返済期限をのばしてもまだ返済できない人は、「再生計画を完了するまで、住宅ローンの利息と元金の一部だけの支払いでいいよ」という返済プランを利用できます。

これが、元本一部据置タイプです。

例えばあなたの住宅ローン支払い額が、毎月「元金5万円、利息が3万円」の8万円だった場合、「元金1万円、利息が3万円」の4万円払うなら普通に返済したのとおなじようあつかうよ、というプランですね。

もちろん、再生期間中の3年間はほとんど利息だけを支払うことになるので、最終的な支払額は大きくなってしまいます。

それでも、とりあえず再生計画を終えるまで余裕がない、という人にはとても有利なプランです。

住宅ローン特則の特別ルールは、債権者の同意を必要としないので使いやすい

ちなみに、これらの返済プランを利用する場合、債権者の同意は必要ありません。

裁判所があなたの返済能力や滞納の状況を見て、許可してくれればオッケーなのです。

返済に困っている人、住宅ローンの支払いを滞納している人でも、個人再生はさまざまな解決策を示してくれます。

どんな返済プランなら持ち家を守れるか、あきらめずに一度専門家に相談してみましょう。