個人再生手続きの申し立ては、どういうふうに進むのか

個人再生手続きをするうえで、あなたはどんなことをしなければならないのでしょうか。

「借金を大幅に圧縮できる「個人再生手続き」とは?」で手続きに関する一連のながれは抑えていますが、今回はさらに「個人再生手続きで、あなたが関係する手順」を確認していきます。

また、東京地方裁判所では必ず選出されることになる「個人再生委員ってなに?」「費用はいくらかかるの?」といったことも説明します。

あなたが関係する個人再生の利用手順

個人再生の手続きはいくつもの段階にわかれていて、おおまかな分類ですが、

  1. 弁護士への相談と申し立ての準備
  2. 最寄りの裁判所で申し立て
  3. 個人再生委員の決定と面談、テスト
  4. 再生手続の開始
  5. 再生計画の提出
  6. 再生計画プランの認可or不認可の決定!

というふうになっています。

再生計画案が採用されて認可をもらったら、あとは債権者から不服の申し立てでもないかぎり、計画どおりのお金を払っていくだけです。

①弁護士への相談と申し立ての準備

個人再生手続きのなかで一番大変なのが、申し立ての準備です。

個人再生では、とにかく必要書類が多く複雑だからです。

書類を準備するために役所にいったり会社に相談したり、税務署や法務局にいったりと労力もかかります。

準備をきちんとできていないと申し立てをしても却下されてしまったり、最終的に再生計画が不認可になったりします。

準備中に借金の返済を滞納している場合は、もちろん督促もやってきます。

精神的にも大変なので、弁護士に相談しながら準備するのがおすすめです。

②最寄りの裁判所で申し立て!

必要書類を用意したら、あなたが住んでいる住所の最寄りにある地方裁判所にいきましょう。

住宅ローン特則を利用するなら、いっしょに「住宅資金貸付債権に関する特則」の利用も申し立てます。

書類の受付が済んだら、やることはおわりです。

③個人再生委員の決定と面談、テスト

個人再生では、「個人再生委員」が選出される場合があります。

くわしくはあとで説明するとして、裁判所が個人再生委員の選出を決定した場合、あなたは委員の人と面談をしなければなりません。

返済能力があるのかどうかをチェックするために、テストを行う場合もあります。

申し立てのときに提出したとりあえずの返済計画にしたがって、実際に支払う予定の金額を個人再生委員に半年間支払いつづける、というのがテストの内容です。

④再生手続の開始

個人再生委員と面談して問題がなければ、裁判所があなたの申し立てを認めて正式に手続きがはじまります。

⑤再生計画の提出

裁判所が債権者から聞き取り調査をしたり、あなたを呼んで事情聴取をしたりしたあと、正式な再生計画案を提出します。

このときに提出した再生計画で、認可されるか不認可になるかが決まります。

⑥再生計画プランの認可or不認可の決定!

小規模個人再生なら債権者の合意を得て、給与所得者等再生なら裁判所の独断で再生計画の認可・不認可が決定します。

ここまできたら、あなたが手続き上行うことはほとんどありません。

個人再生委員についてくわしく知りたい!

ちょっと話はかわりますが、個人再生委員について補足しておきましょう。

個人再生委員ってなんのために選出されるの?

個人再生委員は、「裁判所にかわってあなたの返済能力や収入などを調べ、個人再生できるのかどうかをチェックする」ために用意される人のことです。

裁判所への意見書を提出する役目ももっているので、面談のときにうそをついたりすると、手続きそのものに失敗してしまいます。

大学受験をするときに、センター試験で一定以上の点数をとらないと2次試験に進めないなんてことがありますよね。

ぞくに「足切り」などと呼ばれる制度ですが、これとおなじようなものだと思ってもらえればいいでしょう。

あなたがお金を払って個人再生委員にチェックをしてもらい、問題がなければ正式な個人再生手続きに進めるわけです。

絶対に必要なの?

あなたの返済能力を確認しなければ、個人再生の可否は決められません。

東京地方裁判所で申し立てをするときは、必ず委員の選出が行われます。

そのほかの地方では、あなたが弁護士を代理人にしていた場合、あなたの代理人弁護士が個人再生委員の仕事をすることもあります。

ただ、弁護士をたてずに個人で申し立てをしたり、司法書士を代理人にしたりしていると、あなたの返済能力を確実にチェックできるかどうかわかりませんよね。

この場合は、基本的に個人再生委員が選出されます。

個人再生委員が選出されたら、お金はいくらかかるの?

センター試験を受けるためにお金がかかるのといっしょで、個人再生委員が働く費用はあなたが負担しなければなりません。

金額は各地方裁判所によって違いますが、弁護士をたてていれば15万円、個人で申し立てをした場合は25万円がだいたいの相場です。

個人再生委員はあなたをチェックする人ですが、再生計画案についてのアドバイスをしてくれる人でもあります。

個人再生手続きにおいてとても重要な存在なので、きちんと対応できるように心の準備をしておきましょう。