自己破産、のそのまえに!民事再生で持ち家のまま借金返済をのりきろう!

ニュースで「○○という会社が民事再生法の対象になり……」なんて報道を聞いたことはありませんか?

2015年の話題をピックアップすると、航空業界大手のスカイマークが民事再生の手続きをしていますよね。

民事再生というのは、「金回りは悪くないけど、それ以上に借金の返済で苦しんでいる企業や個人がいる。このまま会社を潰してしまったり、個人が自己破産をしたりすると債権者や従業員、取引先などに大きなダメージがあるので、借金を減らしてなんとか再起できるようにする」ための手続きです。

ニュースになるのは大きな企業が民事再生の手続きを取る場合くらいですが、実際には自己破産や任意整理などと同様に、民事再生制度は「ごくふつうの個人でも利用できる、債務整理のやり方のひとつ」にすぎません。

民事再生は、「自己破産をしたくないけど多額の借金で困っている」「マイホームをもっているが手放したくない」といった人にとって、任意整理よりもさらに強力な借金の整理法なのです。

今回は、話題になるわりにちょっとわかりづらい「民事再生」を紹介しましょう。

「民事再生」の基本を抑えよう

民事再生について簡単にまとると、「無理なものは無理なんだから、いま返せる金額まで借金をまけてよ!」というお願いをする制度になります。

住宅ローンをのぞく借金総額がおおまかに20%くらいまで減らせるので、効果は莫大。

ただ、制度を利用するためにはいろいろな条件をクリアしなければなりません。

話が難しくなってしまうので、企業規模の民事再生については考えず、個人レベルの民事再生に限って考えることにしましょう。

民事再生の手続きには種類がある!

個人で行う民事再生は、「企業が行う民事再生手続きに比べて、簡単にできるようになっている」のがひとつの特徴です。

手続きとしては「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つのやり方があり、微妙に利用条件も違います。

民事再生ができるのは、基本的に、

  • 返済のあてになる安定した収入がある
  • 住宅ローン以外の借金総額が5000万円以下
  • 利息を引きなおして計算をしても返済不可能

という人のみ。

「小規模個人再生」の場合、この条件にくわえて「民事再生法という法律で決められている、もとの借金の額に応じて最低限これだけは返済しましょうね、という金額(最低弁済額)」か「自分の資産総額(清算価値)」のどちらか高いほうを原則3年間で返済しなくてはなりません。

しかも、民事再生を裁判所に認めてもらうためには、「借金の貸主の半数以上があなたの返済計画に同意」していて、「反対をした貸主から借りているお金が、借金総額の半分を越えていない」ことという厳しい審議があるのです。

ようするに、債権者であるお金の貸し手を納得させられるだけの具体的かつ現実的な返済プランを考えないとダメなのです。

一方で「給与所得者等再生」の場合、「小規模個人再生」よりも条件がやさしくなります。

いわゆるサラリーマンで収入が安定しており、「小規模個人再生」の条件も満たしている人は、最低弁済額と清算価値のほかに、「給料から生活費や控除などを引いて残る、おこづかいなどに使えるお金の額(可処分所得)の2年ぶん」を比べて高いほうを返済します。

単純に計算するとサラリーマンのほうがたくさん返済することになりますが、「小規模個人再生」と違って「半数が反対していない」といった条件はありません。

つまり、サラリーマンだと民事再生の手続きを裁判所に認めてもらいやすいのです。

手続きはかなり複雑ですし、デメリットもあるので難しいですが、利用できるならぜひ利用したい制度ですね。

民事再生を選ぶとどんなメリットがあるの?

民事再生を利用すると、借金はゼロにはなりませんが、金額を5分の1などに減額できます。1000万円の借金では返済できなくても、200万円まで借金が減ったら返済できそうですよね。

自己破産と違って高額な資産を処分しなくて良いですし、保険の外交員や警備員など、自己破産をするとその仕事が一定期間できなくなる職業の人でも大幅に借金を整理できるメリットがあります。

見過ごせない民事再生のデメリットとは

民事再生は、借金の額こそ減らせますがデメリットももっています。

例えば自己破産や任意整理をしたときと同じく、信用情報機関にデータが残るので、クレジットカードの発行やローンの申し込みは数年間できなくなります。

また、返済可能と判断されたとはいえ、定められた金額を3年をめどに返済していくのはかなり大変です。

官報にも名前のりますので、友人知人に民事再生をしたことが知られてしまう可能性もありますし、手続きそのものに結構なお金もかかります。

といっても、民事再生は高額な借金がないと利用できないので、そうそう個人で利用することはありません。

問題が大きいからこそ、任意整理をしても返済できないとわかったときは弁護士に相談をするべきです。

自己破産を決意するまえに、民事再生ができないか検討してみるのもおすすめですよ。