2010年から完全施行!改正貸金業法のポイントをおさえよう!

あなたは、「貸金業法」についてどんなことを知っていますか?

貸金業法は、金融関係の仕事をしている人、個人的に勉強をしている人には馴染み深い法律ですが、ふつうに生活していて「貸金業法がああだこうだ」なんて話をすることはなかなかないですよね。

ただ、債務整理についてひろく浅く知識をもつには、貸金業法も大切です。

なんといっても、貸金業法は日本の貸金業を管理するもっとも基本的な法律です。

実際、あなたがお金を借りる貸金業者は、違法なヤミ金をのぞけば100%貸金業法に従ってビジネスをしています。

お金を借りるときのルールや仕組みも、貸金業法が定めているのです。

多くの人が苦しむ借金問題、過払い金やグレーゾーン金利をはじめとする債務整理にとって、「貸金業法」と「貸金業法の改正」は歴史的なターニングポイントです。

2006年に改正され、2010年に完全施行された「改正貸金業法のポイント」として、今回はあなたにとっても身近な「総量規制」を紹介します。

貸金業法が定める「総量規制」とは

総量規制とは、おおざっぱにいってしまうと、「貸金業者から年収の3ぶんの1以上のお金は借りられない」というあたらしい借金のルールです。

どうして3ぶんの1なのか? なんてことは置いておいて、「総量規制がなんのためにつくられたものなのか」をチェックしていきましょう。

あまりにも借金が簡単すぎた!?ふくれあがる借金を防ぐための「総量規制」

じつは、日本は一時期借金で大変なことになっていました。

だいたい2000年前後のことですが、当時の日本はサラ金や消費者金融の全盛期。

多重債務者だけで数百万人、「だれでもぽんぽん数十万円借りられる」ような時代です。

どうして簡単にお金を借りることができたのか?

理由はいろいろあります。

たとえば審査。貸金業者が借金の申し込みをしてきた人に「お金を貸せるか」を審査することを「与信」と呼ぶのですが、この審査がとてもおおざっぱでした。

審査では「信用情報機関」からデータを取り寄せ、借金がいくらあるか、返せそうかなどを判断します。

現在のように「信用情報機関」が情報の共有をほとんどしていなかったので、「Aという会社で限界まで借金をして、ブラックリスト入りした人」でも「Bという業者にいけばお金を借りられる」なんてことがざらにありました。

利息制限法と出資法の上限利率の違いもあって、利息は29.2%近くという高金利。

貸金業者はお金を貸し、利息をとればとるほどもうかるので、サラリーマンだろうと学生だろうと専業主婦だろうと、お金を貸しまくっていたわけです。

簡単にたくさん借りられる。当然借金がふくれあがる人が増えますよね。

貸金業法が改正されるまで、日本にはたくさんの多重債務者がいた

取りたての手口もどんどん違法スレスレに、そして違法そのものなやり方になっていき、2006年になると借金苦で自殺をしたとされる人の数が「8000人」にものぼっています。ものすごい人数です。

簡単に借りることができて、利息が高いので返済が追いつかない。

家族や知り合いにバレないように、またべつの会社から借りて返済する。

気がついたときには借金地獄。

こういった状況をなんとかするために、貸金業法は大幅改正されました。

ちょっと強引ですが、「簡単に借りられる」「収入を考えれば絶対に返せない金額でも借りられる」からつぎつぎに借金をするわけですよね。

ならば、現実的に返済可能なラインである「年収の3ぶんの1までしか貸してはいけない」という制限を貸金業者にかければいいんじゃないか、と「総量規制」がつくられたのです。

「総量規制」になるもの、ならないもの

じつは、借金の仕方、債務にもいろいろとあって、「総量規制の対象になる借金」「対象にならない借金」があります。

ちょっと複雑なので、さくっと紹介していきましょう

  • 貸金業者であるサラ金や消費者金融からは、年収の3ぶんの1までしか借りられない
  • 総量規制の対象になるのは、「貸金業者からの、個人的な借金」だけ
  • 銀行など、貸金業法と関係のないところからの借り入れは、総量規制と無関係
  • 会社の借金や、事業のために個人が行う借金も総量規制の対象外
  • 個人的な借金でも、住宅ローンや自動車ローンなど、一部の借り入れは総量規制の対象外

などなど。

一般的な消費者金融に借金を申し込むとき、ある程度の金額(50万円や100万円の借り入れ)になると収入を証明できる書類が必要なのは、総量規制があるからです。

いまや個人が「いくら借りているのか」といった信用情報は「信用情報機関」で共有されていますし、貸金業者は「年収の3ぶんの1以上貸してはいけないのに、貸したら違法」になってしまうので、審査も慎重になっています。

ほかにも、専業主婦の場合、借金するには旦那さんの収入証明や同意書が必要になりました。

貸金業法の改正によって、お金は借りづらくなっています。

それでも法改正もあって多重債務者は年々減り、過払い金や返済できない借金で悩む多くの人が救われているのです。